Original Boys Love Novel. かずあやシリーズ

NEXT or EXIT?
EXTENTION --3







Excuse me,Baby.

Do you believe in lover?
Do you a little farther on next?
Or what chase up exit and you get away from seacret?

OK,Baby.
You must opt in favor of NEXT or EXIT.

NEXT or EXIT.





振り払った手がやけに熱い。
あやかを振り切って家に入り、ドアを閉めた途端和輝はしゃがみ込んだ。
あんな態度をとるつもりはなかった。
あやかの話を聞いて、納得できたら笑顔で送り出してあげようと思っていたのに。
実際にはぶっきらぼうにただ逃げる事しか出来なかった。
”話したいことが、あって”
言われた瞬間、別れ話だと思った。
”あ、その前に謝らなくちゃだよね”
待ち合わせの場所に来なかったことへの謝罪か、それとも他の相手を選ぶことへの謝罪か。
和輝はあやかの口から別れ話が出ることを恐れ、また、それを受け入れることができなかった。
だからあやかがしゃべりだす前に彼の前から逃げ出したのだ。
ゆっくりと、ゆっくりとあやかの手を払った自分の掌を握り締める。
次に会うときにはやはり別れ話を切り出されてしまうのだろうか。
敦志が、いるから・・・と。
和輝の握り締めた手が大きく震え出した。
「・・・・か・・・」
別れ話なんか聴きたくない。
愛してる以外の言葉なんかその唇から漏らさせない。
「・・・あやか・・・」
大好きなんだ。
愛しているんだ。
今はその気持ちしか和輝の頭には浮かんでこなかった。
「あやか、あやか・・・あやか!」
何度も、何度も、何度でも。
愛しさを込めて名前を呼ぶことは出来るのに。
もうその身体を抱きしめることができなくなってしまうのだろうか。
瞼の裏には一人の人物の顔しか浮かんでこない。
手の震えは夜遅くまで止まる事はなかった。
愛してると、心の悲鳴だけを残して。



「・・・で、まだ謝ってないわけ。あんた・・・ばっかねぇ」
貴子の物着せぬ言葉にぐさりと和輝の心が抉られる。
「っていうかさ、仮にも好きな相手だったら最後まで大事にしないといけないよな」
高野の正論が和輝を地の底までへこませてくれる。
「しかも手ぇ払った事、かなり後悔してるしな。後悔するくらいならやるなっつーの」
葛篭貫の確信をついた言葉が和輝に止めを刺した。

「・・・あのな、お前ら。俺を励ましにきたとか応援しにきたとかじゃないのか?」
次の日、思わず学校を休んでしまった和輝の家に高野と葛篭貫がノートを持って見舞いにきてくれていた。
そこに貴子も乱入して和輝はサボりの理由をはかなければならなくなったのだ。
「からかいに来ただけに決まってるジャン」
貴子が笑顔で言うと、和輝は額に血管を浮かべて帰れと三人に告げる。
それに慌てた貴子はポケットから携帯を取り出すと和輝へ見せた。
「冗談だってばー、あたしからあやかさんに電話してあげるから」
和輝の機嫌を取るように貴子が告げ、携帯の短縮ナンバーをプッシュする。
高野と葛篭貫といえばパーティー開けしたお菓子をつついて事の経過を見守っていた。
「しっかしなー・・・くっついた事は知ってたけど」
「そうそう、毎週お泊りに行ってるとは思ってなかったよな?」
「待ち合わせてても日帰りデートだと思うじゃん」
「意外に大人ね、和輝くん」
「いやいや、あちらが大人なんだよ。大学生だろ?あやかちゃん」
あっけらかんとしゃべる二人が、和輝は心底憎いと思った。
高野と葛篭貫には恋人ができたことを話している。
しかし、それが男とは教えてないしあやかの名前も女名なのでうまく勘違いしてくれていた。
「・・・だってしょうがないじゃないか、一緒に・・・いたかったんだから」
呟きをひとつもらす。
和輝はこの二人には隠し事はしたくないが、とりあえず嘘はいってないのでよしとしていた。
”あやかという大学生の恋人”・・・このキーワードは外してない。
「まぁ・・・和輝が選んだ相手だからな。信用はしてるけどさ」
高野の言葉に、和輝のうつむいていた顔が上げられる。
「そうだな、理由あっての行動だと思うぜ?そんだけ好きだったらわかるだろ。相手のこと」
葛篭貫の笑顔にゆっくりと背中が後押しされる。
口ではどうとでも言いながら、結局心配してくれる友人たちについ和輝の口元が緩んだ。
「和輝はどうしたいんだ?それが一番大事な事じゃねぇか」
和輝はその言葉にゆっくりと頷いた。
そう、あやかが何を言っても別れたくなんかない。
だったら抱きしめた手を離さないでいるか、振りほどかれた手を再び掴むしかないんじゃないか。
和輝のために一度はさよならを突き通そうとしたあやかのことだから、
自分が手を離さないようにしていなければ関係など続かない。
あやかが選んだからと身を引くのは簡単だけれど。
本当に好きだったら、やっぱり自分が幸せにしなければだめだ。
「・・・一緒に、いたい。あやかと」
和輝はもう一度、確かめるように気持ちを口に出した。

「・・・あれ?あやかさんの携帯じゃないの?」
貴子の声で和輝たちははっとしたように視線を彼女へ向ける。
「うん・・・え、そうなの?ああ、はい。わかりました。・・・はーい」
電話を切る貴子に皆の視線が先を促した。
貴子は少し和輝を睨むようにしながら、ため息をひとつ吐いて話し出す。
「あのね、あやかさん携帯忘れちゃったんだって。行き着けのバーに。で、その理由ってのが
どうも和輝がクラスメートの女の子と一緒にいるところを見ちゃった事らしくて、和輝にちゃんと
話をしようと思って慌てて出て行ったら忘れちゃったんだって。敦志って人は和輝とのことを
相談にのってて、たまたまその場にいたから携帯を預かってたらしいわよ?それを和輝に
話そうとしたら電話切られちゃうし、あやかさんは携帯取りに来ないしで。しっかりしろって
伝言伝えてほしいって言われちゃったわよ」
貴子が唇を尖らすと、和輝は気の抜けたような表情で眉尻を下げた。
「・・・なんだ・・・より、戻ったわけじゃないのか・・・」
あやかは和輝のことを相談していたらしい。
しかもちゃんと話をしようと慌てていた。
今までのあやかだったら不安があっても話なんかせずに自分の胸にしまっていただろう。
すごい進歩だと、正直和輝は嬉しく思った。
「・・・あのさ、問題はそこじゃないと思うんだけど」
ちょっとだけ幸せな気分に浸っていた和輝に、貴子が水をさす。
「あやかさんあんたと女子の仲を誤解して、でもめげずに和輝の口から誤解を解いてもらおうって
走ってきたのにあんた、手ぇ振り払って逃げたんでしょ?決定打じゃん。傷ついてると思うわよ〜」
そう、すべて和輝の勘違い。
あやかはただ携帯を忘れてしまっただけ。
あやかはただ不安をぬぐってもらいたかっただけ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
和輝の顔面が青ざめた。
和輝の行動はどう見てもあやかの不安を煽る結果を招いていた。
あやかが自分から一歩を踏み出してくれたのに、それを無碍にしてしまったのだ。
和輝は口をぱくつかせながら立ち上がった。
「あ・・・謝ってくる」
ばたんっと大きな音を立てて部屋を飛び出していった和輝に、クラスメートから噂される
大人っぽいかっこよさなど微塵も残っていなかった。
好きな相手のことならば、なりふりなどかまっていられないのだ。
「いってらっしゃーい」
ひらりと貴子がその背を見送った。
「・・・あー、よかった。勘違いってとこで。これで仲直りすれば万々歳だよな。
だってほら、一緒にいるの見たのって、たぶんあのときだろ?」
高野がそういうと葛篭貫も賛同するように何度か頷く。
二人は和輝が待ち合わせ場所に向かう途中、女子につかまった場面を思い出していた。
「そうだよなー。しかしよっぽどかわいいんだろうな、あやかちゃんって。和輝のベタぼれを見ると」
「いいよなぁ、かわいい大学生の彼女かー。うらやましい」
妙な妄想を膨らまし始めた二人の横で、貴子はお菓子に手を伸ばす。
「ううん、あやかさんって男の人だよ」
その一言に、高野と葛篭貫の笑顔が凍った。
「・・・・・・・・はい?」
そのままくるりと貴子のほうを振り向くと、お菓子を何食わぬ顔でぱりぱり頬張る姿があった。
和輝が秘密にしていたことが思い切りばれた瞬間である。



和輝はあやかのマンションへと走っていた。
車で10分ほどの距離、バスを待つより走ったほうが近い気がしたからだ。
「・・・あやか・・・」
出会えるように願いを込めて名前を呟く。
頭の中は謝罪の言葉で一杯だった。
どうして信じてあげることができなかったのだろう。
そこまで自分は子供だったのかと、怒りで身の内が震えるようだった。
「・・・・げほっ」
あやかのマンション近くの商店街まで走ってくると、和輝は咳き込んだ。
高校生といえども全力疾走で15分は過呼吸を引き起こす要因にもなる。
気ばかりあせりながらも、和輝のスピードが少しだけ弱まった。

最初は好みの容姿に惹かれただけだったかもしれない。
それがいつの間にか一緒にいたいと自然に思えるようになっていた。
電話ができなかったときの寂しさ。
週末を一緒に過ごす事ができた嬉しさ。
朝起きたとき隣で眠る顔を眺められることへの幸せ。
全部、あやかがいなければ知りえなかったことだった。
失くしたくないものだったら、両手でしっかり支えていなければ。
”誰か”なんて関係ない。
自分と、あやかの気持ちが一番大事なのだから。
今はあやかが不安なんか感じられないほどたくさんの愛を注いであげたい。
愛が冷めないことだってあるって、証明してあげたかった。

和輝は胸の中で繰り返す言葉に励まされながら走り続けた。
愛してる。
シンプルだけれど変わらぬ気持ちの証。
「・・・ぅ、わっ!」
いきなり袖をつかまれ、和輝は息を詰まらせながら足を止めさせられた。
振り返ると先日のクラスメート、池田という彼女がいる。
「藤臣クン?今日ガッコ休んだのになんで走ってんの?」
悪びれた様子なく和輝を引き止めた彼女が告げる。
その様子に和輝は多少いらついた表情で自分を捕まえているその手を離させようとした。
「急いでるんだ、話なら明日にしてくれ」
彼女の腕を痛まない程度につかんで自分のそれから引き離す。
視線はもう前を向いて走り出そうと足が一歩出ていた。
「・・・・---------- ッ!」
瞬間、雑踏の中にあやかの顔を見つけた。
明らかに傷ついた顔。
その姿はすぐに踵を返すと、街のざわめきの中に消えてしまった。
細い背中。
自分の腕の中で何度ものけぞった、白い肌。
抱きしめたいと思っていたその背中を追いかけようと、和輝は再び走りだす。
ここで逃がしてしまったら、きっともう話を聞いてもらえない。
「藤臣クンっ!」
クラスメートの声など、もう耳には入ってこなかった。



やっと誤解が解けると思ったのに。
やっと自分の確かな気持ちを伝えることができると思ったのに。
すれ違う気持ちが押しつぶされそうなほど心臓を圧迫する。
大切にすればするほど、その想いは切なくて。
その理由を理解するほど大人になんかなりきれなくて。
一緒にいたい。
追い求める細い背がどんなに遠く見えても。
一緒にいたいんだ。
今はただ、その手を掴むために。


■ NEXT or ■ EXIT