絶対無敵に恋人志願


Vol.17 最強で最凶なSweet Honney


最初は驚きだけが走った。
その後に、じんわりと灯る喜びを感じた。
「さ・・・わたり・・・」
言葉にしようとしても、上手く想いが伝わらない。
雪夜は苛立ちを覚えながらただがむしゃらに佐渡里へ抱きついた。
一度は拒絶された自分。
それでも、なお受け入れてくれた相手。
「佐渡里ッ・・・」
顔を胸元に埋めながら何度も何度も呼びかける。
それに答えるかのようにずっと頭を撫でていてくれた佐渡里の腕が、
ふいに強く雪夜を掴んだ。
そのまま息も苦しいほど抱きしめられ更に喜びが深くなる。
この腕が欲しかった。
ずっと、何年間も憧れていた。
佐渡里に抱かれる事はどれほど気持ちいいだろうかと。
彼の瞳に映る自分はどれほど満ち足りた笑みを浮かべているんだろうと。
身体だけの恋は、今心を手に入れた。

「・・・佐渡里、ごめん・・・ごめん」
いろいろなことで彼の気持ちを傷つけたことに対して、雪夜は謝罪を繰り返す。
今更やってしまったことに対して弁解することはできないけれど、
好きな気持ちだけは信じて欲しかった。
そしてそんな想いに答えてくれた佐渡里だから、雪夜はちゃんと謝っておきたかったのだ。
「・・・まぁ、全部許せたわけじゃないケドな」
自分の頭上から苦笑が聞こえる。
けれどそれは諦めなどではなく、すべてを認識した上での酌量だった。
雪夜はまだその身に落ちる感動から抜け出せずにいたが、ゆっくりと
佐渡里の顔を見上げて語りかける。
「本当に、ごめん・・・それから・・・」
プライドの塊のような自分。
それがはがされた今はきっと素直な気持ちで言うことができる。
佐渡里は口端を緩く上げたまま雪夜の顔を見下げ、落ち着かせるように
背を撫でてくれていた。
「・・・愛してる。佐渡里の、全部が欲しかったんだ・・・」
彼の腕の中でそう告げられることへの感謝。
雪夜が抑えきれぬようにほころんだ笑みを零すと、佐渡里はその後頭部を
ぐっと抱き寄せ耳朶へと口付けを落とした。
「もう・・・しゃべんな」
そして耳を暖かく潤した彼の唇が、しっとりとした質感で自分の唇へと当てられる。
抱きしめた互いの身体はすぐにでも火照りそうだったが、その熱よりも口内のほうが
溶かされそうなほど熱かった。
絡み合う舌先はどちらの口内も往復し唾液で溺れそうになってゆく。
「ッ・・・ん、ンンッ・・・」
舌の根さえも吸い尽くされ腰元がふらつく雪夜を抱きしめながら、
佐渡里は舌触りのよい雪夜の唇を舐め上げた。
漸く解放された頃には、雪夜の意識は少しだけぼんやりとなっていた。
本当に佐渡里は上手いと思う。
キスだけでイカされそうになるくらい、舌も唇も肌も指先もポイントを
ついて自分を煽ってくるのだ。
「・・・佐渡里・・・シャワー浴びたら、寝室に行くよ」
艶めいた視線で彼の瞳を見入ると、欲情がちらつく双眸で頷きを返してくれる。
それに気を良くした雪夜は少し背伸びをして佐渡里の頬にキスをした。
「これからは、もっとエッチしよう?」
ふふふ、と笑いを含めて。
耳元で思い切り囁いてやる。
先ほどのキスの仕返しなんだが、効力があるのは佐渡里だけではない。
雪夜は目元を細めながらもう一度佐渡里に抱きついた。
脳裏では、あるひとつの計画を練りながら・・・。




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