絶対無敵に恋人志願


Vol.11 狡猾な唇で強引な口付けを


その後、佐渡里が自分の誘いを断ることはなかった。
もう何度となく身体を重ねたが、一度も拒む様子なく・・・時に恋人を
扱うかのように優しく、時に猛り狂った獣のように激しく抱いてくれる。
雪夜はそんな彼の態度に微弱な戸惑いを感じつつも、上手く自分の嘘を
信じてくれたことに安堵の溜息をついた。
「・・・・・・」
そして今夜もまた、雪夜は彼に抱かれに行く。
つかの間の営みならばせめて醒めるまで甘い痺れに冒されていたい。
体中のすべてを佐渡里の手で弄って、奥の奥まで貫いて、抱かれた印を
注ぎ込んで欲しい。
そうされることが自分を救うための、唯一の方法だから。
抱き合ったことを夢にしないで腰に残る彼の動きを忘れたくないから。
雪夜は、夜毎に抱かれに行くのだ。

「・・・・アッ、ん・・・ぁ、あうっ!・・・晃次、ィ・・・」
絡み合った指先は雪夜が自分の指先を噛むことを許してはくれない。
ベッドが軋み二人分の重みを受け止めていた。
骨太い佐渡里の手のひらが胸元を愛撫するたびに芯の熱が上昇していく。
そして、熱の上昇とは裏腹に冷めていくこの空虚感が更に雪夜の行動を
大胆なものにした。
抱き合っているのに。
重なっているのに。
相手がどんどんと離れていってしまうようで、雪夜は指先に力を込めて
佐渡里を繋ぎとめる。
この心の隙間を埋めて欲しい。
満たされる何かを手に入れたい。
それは、相手の身体ではなかったのか?
湧き上がる疑問が何度も瞼の裏を過ぎ去っていく。
「あはぁ・・・ん・・・、こ、・・じ・・・もっと、もっとしてッ・・・」
自分の上へと覆い被さる晃次の首筋を両腕で抱きしめると、雪夜は腰を
揺さぶって刺激を強請った。
すると佐渡里は喉仏を薄く動かしてから雪夜の腰を掴んでさらに深く穿ってくる。
「・・・ッ、うあっ・・・アぁっ!」
殊更強い刺激に雪夜の先端から透明な液が滲み出てきた。
快感は深く心の溝などないかのように思わせてくる。
触れ合う肌は上気し熱を持ってまるで自分の内部を溶かすように思えてきた。
「晃次・・・こ、じ・・・」
自分を抱く相手がダレなのか確認するように唇を押し当て至近距離の表情を視界に収める。
佐渡里は目尻を細めながら雪夜の顔を見返し、腰の動きに翻弄されながらも応えてくれた。
そんな仕草が、ひどく胸元を滾らせる。
セックスだけじゃない。
抱き合うだけではもたらされないむずがゆいほどの快感。
雪夜は、もうダメだといわんばかりに佐渡里を強く抱きしめた。
「・・・す、き・・・好きだ・・・ァ、っ・・・こう、じ・・・」
言葉にした瞬間、佐渡里の背が震えた気がした。
それでももう止まらなかった。
「あ、ああっ・・・!・・・好きだ、んっ・・・好き・・・」
ここでしか告げられない秘密の言葉。
雪夜は自分の秘部がきゅっと締まるのを感じた。
佐渡里をもっと気持ちよくさせてあげたい。
ただそれだけで、雪夜はいつもよりさらに濃密に淫乱になれる。
両腕で佐渡里を抱きしめたまま、首をほんの僅か下へと向かせて彼の首筋を甘噛みした。
佐渡里の動きはさらに激しさを増して肉体が交じあう乾いた音と濡れた音を響かせる。
「あっ、あっ・・・も、ダメ・・・晃次ッ・・・」
枕に押し当てられた後頭部が律動に合わせて何度も揺れ動いた。
互いの汗や精液が体中をベトベトにさせもう誰の熱なのか、
どこの刺激なのかわからなくなってくる。
「んああっ・・・あ、愛してる・・・こ、うじ・・・ぁ、アアァーーーーっ!」
絶頂を極めた爪先が、彼の背を強く引っかいた。


口を突いて飛び出した気持ち。
声に出してしまった相手への思い。
自分を穿つ楔さえあればいいと思うのに。
言葉を紡ぎだした瞬間、何かを手にした気がした。
自分は、一体何を望んでいるのだろう。
抱き合う腕ならここにあるのに。
どうしてそれでは満足できないんだろう。
掠れた声音はただ、彼の名前だけを口ずさむ。




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