<神様なんて大嫌い>

STAGA 34 神様なんて大嫌い


加納さんと二人、一度イった後に放心状態みたいにぼーっとしてた。
初めてセックスでこんなに満ち足りた気分になった。
しばらくしてから、どちらともなく指を絡めて。
ふざけ合って笑って。
もう一度セックスした。
それでも足りなくてまたセックスして、シャワー浴びてもう一度抱き合った。
二人でバカみたいに互いを欲しがったんだ。

それが求めてる何かの答えだとは思わない。
それに相変わらず俺は好きって言葉を好きになれなかった。
運命も信じていないし、恋だ愛だのがどんなものかもまだわかってない。
それでも加納さんが俺を見て幸せそうにするのは嬉しかったし、
離れた体温を引き戻すことが出来ることも知った。
触れ合う唇は何度でも交じあわせて時折しつこいくらいに愛を伝える。



嫌いだった男はもういない。
嘘吐きだった相手も。
何も信じられなかった自分も。

知らない間に溶かされて掌から零れ落ちていった。





こういう気持ちをなんていうんだろう。
ただ恋とか愛で片付けるなんてもったいない気もする。



だから。



初めて俺は、
繋いだ手を離さないように努力しようと思った。







「樹、この間のビデオ評判よかったぞ」
「はぁ?なんか俺、出てたっけ?」
事務所で坂崎さんにそう言われて、俺ばかりか加納さんまで首を傾げた。
すると近くにいた青木さんがつつーっと寄ってきて満面の笑みを向けてくる。
「いやだぁ、隠し撮ってたのよう!この間の、敦志くんとのエッチシーン!
あれをね、編集して・・・・・こう、上手く音楽被せてね!」
それを聞いた加納さんの顔がみるみるうちに真顔になっていった。
あー、これは完璧に妬いたな。
俺はぼんやりそう思っていると、加納さんはおもむろに俺の手を掴み取った。
「・・・・・樹、帰るぞ」
「・・・はい?」
あまりに予想通りの反応に苦笑を浮かべて聞き返す。
でも加納さんは俺の返事を無視して歩き出した。
そんな俺達の様子を坂崎さんも青木さんも見ない振りして送り出す。
なんつーか、こういうのが普通になっちゃったんだよね。
俺も手を振り払うことはしないし。

近づいてみて初めて知ったけど、加納さんは案外妬きもち焼きだ。
しかも自分が思っているほどクールでもない。
そういうところがまた、可愛いんだけど。


「・・・・・・・なんだよ、樹」
俺が一人でにやにやしてると、加納さんがちらりと視線を投げてきた。
事務所があるマンションのエントランスを出たところで、俺は脚を止める。
「別に?・・・・・ただ、何時まで俺の手握ってんのかなって」
そう言って視線をお互いの手に移す。
「・・・・・・嫌なのか?」
加納さんがちょっとだけ困った様子で告げた。
だから、嫌なら繋がれた瞬間に離してるっての。


「ばーか。・・・・・・・嫌じゃないから困るんだろ?」


俺がそういったら、加納さんはにって笑って俺を引っ張るように歩き出した。
春の風が頬にあたって気持ちいい。
落ち着いたように見える俺達だけど、毎日ケンカするし時々顔を見るだけで腹が立つときもある。
迷って傷ついて試して傷つけて。
だからって離れてしまおうとは思わない。
それが人間なんだって言われたらきっと本気で不機嫌になるけど。
誰かに教えられた愛なんていらない。
運命なんて恩着せがましいものも嫌いだ。


「・・・・・・なぁ、今日俺んち寄っていく?」
「当たり前だろ。愛を確かめ合っておかないとな」








・・・・・・・だから俺達は相変わらず

神様なんて、

大嫌いだ。

















<神様なんて大嫌い> FIN.





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