<神様なんて大嫌い>

STAGA 30 君はいつも突然で無遠慮で優しくて温かい


加納さんは俺に抱きしめられながら、目尻を下げた優しい笑みを向けてくれた。
それで、俺の手を取って肘の内側や手首、掌や指先に次々と口付けを落としてゆく。

「・・・・・あのさ、樹。永遠なんて確かめられるモンじゃないと思うけど」

そして加納さんの唇は最後に俺の唇にちょん、って。
触れた。

「もし俺の気持ちが変わりそうになったら、また惚れさせてくれればいい。
俺もお前が心変わりしそうになったら何度でも繰り返し恋させてやるし、
口付けが嫌いならそれなしじゃ気が狂うほど好きにさせてやるから」

離れた唇がじんわりと冷えてゆく。
でもまた加納さんは俺の唇に優しく口付けしてくれた。

「だから・・・・・・俺のモンに、なってくれるか?」

言いながら加納さんは何度も何度も唇に唇を触れさせる。
それは言葉だけじゃなく、冷えたものをもう一度暖めてくれる事を態度で示していた。
俺はともすれば愛想笑いで誤魔化してしまいそうになったけど、
お返しに俺からも一度だけ、キスしてやった。

「・・・・・・・・・違うだろ、加納さん」

俺がそう告げると、加納さんは眉根を寄せて俺の顔を見つめてくる。
なんだよ、いつも格好つけてるくせに、俺の一言でそんなに感情が左右されるのかよ。
・・・そう思うと、余計に愛しさがこみ上げてくる。
俺は繋がれていないほうの手で加納さんの首筋を弄り、そっとそこを掴んだ。
まるで首輪のように、エンゲージリングのように。

俺の掌が、
指先が、

加納さんを捕らえる枷となって首筋に触れる。





「・・・・・アンタが俺のモノになるんだよ」


そうしたらきっと、上手い具合にハッピーエンドになるからさ。
アンタのすべてを、俺に頂戴。




加納さんは夜景を見に行った時みたいに、宝物を見守るような視線で俺を見上げてきた。
笑顔はいつもの紛い物なんかじゃなくって、本当に、本当に嬉しそうで。
それから加納さんが頷いて、俺達は子供みたいに必死で互いの背を抱きしめあった。

「・・・・・樹・・・・・、愛してる」
「・・・・俺も、好きだよ・・・・・加納さん」

好きなんて感情、もう一生持てないって思ってた。
でもアンタは俺の中の氷を溶かしてくれたんだ。





この先の未来がどんな結果を出そうとも、
今日が後悔にならないように。





今はただ、
アンタを両手で抱きしめる。





Copyright (c) 2005 Angelic Harlem - All rights reserved.