<神様なんて大嫌い>
STAGA 14 今日のところは帰らせて
もう、今日何度目なんだ。
加納さんに抱きしめられるの。
結局飯だって奢られてないのに好き勝手にこんなことされて。
そりゃちょっとはいい景色見させてもらったけどさ?
寒いし、アンタしかいないし、不満だらけだよ。
だからもう帰らせてくれよ。
アンタといつまでも一緒にいると、不安になってくるんだよ。
「ちょっと、マジで。俺帰る。・・・・・それとも今夜は帰さないってやつ?」
はぁ、と息を吐いてからわざとらしく睨みつけてやる。
なんか凄みが足りない気もするけど、今の俺には精一杯だったんだ。
「・・・・・わかったよ。送っていく。今夜は何にもしないつもりだからな」
加納さんは少しだけ考えてから両手を上げて降参のポーズを見せてきた。
もうほんっとにこの人わけわかんない。
何のメリットがあるわけ?
ここまで連れてきて俺のこと絆して。
いつもみたいに余裕のある偽物の笑顔でも見せてみろよ。
これからエッチしようぜって気軽にホテルに誘えよ。
そんで次の日また何もありませんでしたって顔してとっとと他の奴に鞍替えしろよ。
・・・でないと、困る。
嘘吐きじゃないアンタなんてアンタじゃない。
「でもこれだけ許せ。タクシー乗り場まで10分くらい歩くからな。それまでの間」
そう言いながら加納さんは俺の了承なんか得ないうちに俺の手を引っ張って自分の手と繋いだ。
お互い潮風のせいでバカみたいに冷たくなってた指先だけど。
感触がないはずなのに、絡んだ指の体温が伝わってきそうで。
俺は瞬間的に手を離そうとしたけど加納さんはそうさせてくれなかった。
それから先はもうずっと無言。
タクシー乗り場まで二人でぼんやり夜景見たりしながら。
握った手は暖かくなることはなかったけど、重なった部分がそれ以上冷えることはなかった。
愛とか恋とか、こんなデートしたからってわかるもんじゃない。
セックスしなければ恋愛として純度の高いものになるってわけでもない。
だから加納さんの言ってた目的は果たせてないってことになる。
だって俺、加納さんと恋愛してる気分じゃないし。
繋いだ手が冷えないのだって単に重なってるから空気に触れないってだけで。
・・・だから、俺の体温が上がってるせいとかじゃない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
やっぱ苦手だったんだ、この人は。
嘘吐きのままでいてくれればいいのに。
もうマジで。
早く帰らせてくれよ。
これ以上、心臓がどうにかなっちまわないうちに。
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