<神様なんて大嫌い>

STAGA 11 不確かなビー玉の行方


なんで俺は憎たらしいこのクソガキを抱きしめてるんだ?
本命垂らしこむみたいに必死になって
なんで俺は憎たらしいこのクソガキを口説いてるんだ?

やり方ならもっとスマートなヤツがあっただろうに。
そもそも遊びの感覚でコイツを落としてあっさり捨ててやろうって計画だっただろ。
俺が熱くなるなんて計算外なんじゃねぇの。

・・・うるせぇ、突っ込むな。
理由なんて後からついてきたっていいんだから。


とりあえずコイツを手に入れるには、
今しかないっていうことだ。
畜生。



「・・・とりあえず、デートか」
俺は手に取った樹の指先を絡め取るように俺と繋いで歩き出した。
樹は唖然としたままついて来ていたが、途中ではっとしたように俺の手を払いのけてきた。
「な、何がデートなんだよ。意味わかんねぇよ」
・・・それを聞くなよ。
俺だって理解不能なんだ、自分の行動が。
ただ当初の目的だってまずは俺にメロメロにさせなきゃ始まらないってわけで。
ようは、そう、最終目的のための布石。
お前を振るための手段ってやつだ。
「どうせ暇なんだろ?いいとこ連れていってやるから、大人しくしとけ」
俺は言いながら樹の頭に腕を回して自分の胸元へ奴を抱き寄せた。
夜になってきたからといっても大通りは相変わらず人通りは多い。
通りかかる奴らに見られるのが恥ずかしいのか、樹は顔を伏せてしまったが俺の手を払うことはなかった。

・・・・・・・・うわぁ、微妙な快感。
野良猫でも手懐けたみたいな。
皆が手を出してエサやろうとするんだけど、俺だけ引っかかれずに食わせることが出来るような。
それに似たような気持ちのよさを感じる。
でもそれと同時にこの野良猫を急に川にでも捨てに行って泣きそうな顔を見たいって
気持ちも湧き上がってくる。
優越感と嗜虐感の間で揺れ動いてる不確かなビー玉みたいだ。
まぁ最終的には嗜虐感が勝るんだろうけど。
もうしばらくはこの優越感に浸ってやっててもいいなんて思う。
なにせ誰彼かまわずに引っかきまくる柄の悪い野良猫は今、俺の手の中にいるんだからな。


俺は樹を腕に抱いたままタクシー乗り場へ移動し、奴と一緒に台場へ向かった。
ちっとは喜べよ、ガキ。
俺の一番お気に入りの場所に案内してやるってんだ。
それなのに樹ときたらずっと窓を見っぱなしで俺の顔なんて振り向きもしねぇ。
「・・・・どこまで行くんだよ」
「聞いてただろ、台場だ」
「・・・・・・台場なんて行ってどうすんだよ。ホテルもねぇだろ」
この発言にぎょっとしたのは俺だけじゃなくて、タクシーの運転手もミラー越しに目を見開いていた。
そりゃそうだ。
乗せた客がラブホ探しのホモだなんて興味津々か気持ち悪がるかのどっちかだ。
俺はまったくこっちを見ない樹をずっと見つめながら答える。
「別にホテルに行くつもりはない」
「へぇ・・・アンタがいいところ、って言うところなんてラブホ以外の何物でもないと思ったけどな。
・・・・・ああ、それともベイサイドホテルのスィートとか、取ってくれるわけ?」
樹の言葉は明らかに俺を挑発していた。
俺を怒らせたいのか?
「残念だが、お前にそこまでの金をかけるつもりもない」
「・・・・・・・・!」
樹は逆に怒ったらしく、目をひん剥きながら俺のほうを振り返ってきた。
これでようやく視線があったってもんだ。
「だから言っただろ?金じゃない恋愛を教えてやるって」
「アンタは金じゃないセックスだって言った」
「んー、まぁそれはそれ・・・」
会話しながら俺はちらりとバックミラーを見る。
案の定、運転手は怪訝そうな顔つきでこちらの様子を伺っていた。
このままずっと乗っていたら心労で倒れそうな勢いだ。
ともあれ、レインボーブリッジを抜けたら台場までは目と鼻の先だ。
もう少しだけ我慢してくれよ、運転手さん。



なにせアンタ、俺と樹の恋のキューピッドになるかもしれないんだからさ。





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