<神様なんて大嫌い>

STAGA 9 わがままな自分の両腕


だんだんと近づいていって顔を見た瞬間、俺は凍りついた。
そして次に溜息が出てくる。
男のモノをしゃぶってるのが樹だったからだ。
おいおい、なんでまだこんなところにいるんだよ。
とっくに帰ったんじゃねぇの?
困るんだよね、こんな展開。
めんどくせぇったらありゃしねぇ。
樹もさ、強姦されかかるくらいなら強がらなきゃいいのにな?
まぁ俺は付け込める最大のチャンスってやつを手にしたわけだけど。

「・・・・・・・・・もしもーし。お二人さん」
俺は片手をポケットに突っ込んだままのだらしない体勢で重なる影に声をかけた。
どうやら奴らから見たら俺は逆光らしく、眼鏡をかけている男はつぶれそうなくらい目を細めている。
それからはっとしたように樹の上から退いて、ナニをパンツに仕舞った。
そうそう、大人しく帰ってくれると楽なんだよね。
「あーのさぁ、男同士ったってさすがに強姦はそれなりに暴行罪なワケ」
俺がそう言い出すと男はあわわ、って口動かして一目散に俺の横をすり抜けて逃げていった。
あわわ、だって。
今時漫画でもねぇだろ、ソレ。
「・・・・・・・・・」
男の圧迫から解放された樹はのろのろと体を起こした。
まぁ、やりとりは見ていたから舐めただけってのは理解できているんだが。
「・・・・・樹。・・・口端、精液ついてる」
俺がそう言うと樹はびくって肩を震わせてこっちを見た。
どうも逆光で俺のことが誰だかわかってなかったみたいだ。
目を凝らして俺を確認すると口端を手で拭うように擦って、また、苦々しい表情になった。
なんだよ、なんでいつも俺の顔を見ると嫌そうな面構えになるんだ、お前は。

「・・・何してた?」
「見てたなら・・・・・わかるだろ」
「わかるけど、納得出来ない」
「納得?」
「お前が売りする理由」

俺がそういった瞬間、樹の顔はひどく歪んだ。
「あのさぁ、金目的以外にナニがあるわけ?俺AVだってやってんだろ?
金のためにセックスしてんだよ。アンタだって同じで、だからAV出てんだろ?」
口端濡らしたまんま噛み付くように答えてくる。
今度は俺の顔が歪む番だった。
「別に全部が全部、お前と同じ理由とは限らないだろ?少なくともあやかは金のために
AV出てんじゃないって・・・お前、知ってるだろ」
瞬間、俺は殴られた。
グーじゃなくてパーだったから、実際は音のほうが派手だったけど。
「・・・な・・・」
「どいつもこいつもあやか、あやかって・・・・・悪かったな、アイツみたいにお綺麗な理由じゃなくて!」
俺はかなりむっとした。
なんだコイツ、俺にやつあたりする気かよ。
俺は助けてやったってのによ。


そう思って、俺も殴り返してやろうと思った。


でも俺の手はアイツの背に回ってた。





俺は、

アイツを、

抱きしめてたんだ。





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