<神様なんて大嫌い>
STAGA 6 張りぼての陳腐なマネキン
エッチしない。
飯だけ奢ってくれる。
そんな俺って超ラッキー?
でも借りは作りたくない。
当然のように彼氏面されて飯に連れていかれるのもまっぴらだ。
何より、他の奴らと扱いが一緒ってのが気に食わない。
そんな理由で俺は加納さんに飯代を置いてバーから出てきた。
あの男、どんな台詞を口にしたって結局他の男も同じように口説いているに違いない。
さっきの着信の相手だって、メールで誠心誠意謝って、いい人ぶったまま相手が
自分を手放すことを許してやらないんだろう。
いや、多分相手がいつの間にか手放せなくなっているのかもしれない。
甘い毒は早く手を打たなければいつの間にか全身に回ってしまっているだろうから。
「・・・・・・・・・・・・」
俺は大分薄暗くなってきた空を見上げた。
あの男を見ているとイライラする。
誰にでもいい顔をして、誰にでも優しい言葉を吐いて。
なぁ、知ってる?
アンタがしゃべってる口説き文句ってのも結局は二酸化炭素でしかないんだぜ?
愛の言葉も交わりも、全部無機質なものに置き換えられる。
そんなこと俺にだってわかってるってのに、なんであの人はいつも笑いかけてくるわけ?
胸糞悪ぃな。
どうせ口説く遊びならあやかを口説けよ。
落とすのだって事務所のナンバー1のほうがいいに決まってるだろ。
俺の見えないところであやかを同じように口説いてるなら、俺の見えるところでやったって同じだろ?
「・・・君、一人?この近くにケインズってバーあるの知ってる?」
ふいに俺に声をかけてきた眼鏡の男がいた。
ケインズっていえば同性愛者が愛好しているバーの代名詞だってさっき加納さんが言っていた。
とすると、おのずとこの男の目的が見えてくるってわけだ。
「・・・知ってるけど。何?俺とセックスしたいわけ?」
単刀直入に言ってやる。
駐車場とビルの境目を分けるフェンスに寄りかかりながら俺は男の動向を見つめた。
男の背からふりそぞぐ夕日がやけに眩しくて俺をさらにイライラさせてくれる。
なんだよ、この蛍光オレンジ。
妙に青春チックで頭にくるったらありゃしねぇ。
「ああ、ああ・・・・」
眼鏡男は案の定、一瞬うろたえながらも頷きながら万札を出してきた。
別に売りなんてやってないけど。
ブルガリのチョーカーリングが欲しいってこと、思い出したから。
だから相手してやってもいいって思ったわけ。
「突っ込ませてやらねぇけど舐めるくらいならいいよ」
俺がそう言ったら、男は少しだけ顔を明るくして了承の意を示してきた。
あーあ、なんか今日はツイてない。
Copyright (c) 2005 Angelic Harlem - All rights reserved.