<神様なんて大嫌い>

STAGA 2 大嫌い


俺はポケットから煙草を取り出すと隣に座る阿南樹(あなん いつき)を見つめた。
茶色の両目はどこかギラギラした感じで様子を伺っている。
どうしてこのガキは誰彼構わず傷つけてしまいたいような表情をしているんだろうか。
そんなに自分が尖ったナイフのようであることを誇りに思っているのだろうか。
どうでもいいけれど胸糞悪い。
「樹はこれから撮りなのか?」
俺が樹に視線を送ると樹はかったるそうに首を左右へ振った。
「暇だから遊びに来ただけ。・・・・・アンタは?加納さん」
加納さん、なんて微塵も”さん”付けする要素を見出せないような声音で言い返される。
別に興味なんてないくせに、靡いている振りをしているんだろう?
「俺も暇つぶし。・・・・・だったら、これから飲みにでも行かないか?」
言いかけた俺は何の毒もありません的な顔をして樹を誘った。
こんな生意気な奴を堕落させて俺しか見れない体にして泣いて縋らせたらどんな気持ちになるだろう?
誰も信じられない、というオーラを出しているこの男を精神的に追い詰めていって、
頼れるのはアンタしかいないと言わしめるのはどんな快感なんだろう?
そしてそんな彼を思い切り冷たい態度で罵って放り出して無視してやったら樹はどんな顔をするのだろう?
興味本位なだけじゃない。
俺は樹が嫌いなんだ。
こいつの泣き顔を見るためだったら、俺はお前に惚れた振りさえ簡単にしてやる。
「・・・・・・いいよ。加納さんのおごりなら」
樹は上目使いに俺を見ながら呟いた。
そんなに自分に魅力があるとでも思っているのか?
お前はただのガキ。
自分に酔った男に貢がせることで喜びを感じる、ただのガキ。
「樹と一緒に飲めるならいくらでも奢ってやるって」
そして俺は微笑んだ。


大嫌いなアイツ。
堕としてやりたいアイツ。


いつでも他人を見下したような目線で見てくる。




そんなお前が大嫌い。





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