※こちらは同人誌「眼鏡ボーン。特盛!」のネタバレを含んでおります。
また特盛!の小説とリンクしているため、特盛!を読んだほうがより分かり易い設定になっています。
OU!?発行の「眼鏡ボーン。特盛!」をこれからご購入なさる方は購入してからの閲覧をお願いします。

































眼鏡ボーン。特盛!J庭限定おまけ本より。


「Honney Poison☆」


”・・・五時半に駐車場の俺の車の前で集合。要・・・・・・逃げるなよ”

そう、神谷に言われたのはまだ昼前の出来事だった。
新米看護師である久世要(くぜ かなめ)は内科の診療を終えてふと、溜息を漏らす。
想像することすら恐ろしい恋人のお仕置き。
それが頭の中を巡り巡っているからだ。
事の発端でもある内科医の早坂宗太郎(はやさか そうたろう)は想い人である外科医の
朝岡恭吾(あさおか きょうご)と晴れて恋人同士になることが出来たらしく、上機嫌でいる。
それはそれで嬉しいのだが、どうにも素直に祝福できない。
要は後片付けを済ますと陽気に帰ろうとする早坂に恨みがましい視線を送りながらロッカーへと向かった。
神谷貴史(かみや たかし)は要の恋人で、泌尿器・肛門科の医者でもある。
そんな彼と要がくっ付いたのはつい最近の出来事だ。
セクハラ三昧に悪戯されていた要だが、ある時から神谷に触れられなくなって、
胸の内にあった恋心に気づいてしまった。
そう、確かに要は神谷のことが好きだ。
けれどことあるごとにお仕置きだ、と妙なセックスをしてくるのには辟易していた。
そして今もまた、その辟易している事が起ころうとしている。
そのことを考えるだけで、ロッカールームで私服に着替えた要の、駐車場へと向かう足は非常に重くなった。
要は先日、酔って朝岡にキスをしてしまった。
それを誤解した早坂へ説明しているところに神谷が現れたのだ。
おかげでキスをしていた理由というか、説明を神谷にしなければならなくなった。
酔った勢い、という理由だけで納得してくれるのならば簡単なのだが。
相手はあの、神谷だ。
それだけでは済まされないことは容易に想像できた。
「・・・・・来たな。一分三十二秒の遅刻だ」
「・・・・・・すいません」
駐車場の彼の車の前で立って待っていた神谷が視界に納まる。
要は謝罪の言葉を口にしながらもやや緊張した面持ちで促されるままに助手席へと腰を下ろした。
そこでふいに神谷の匂いが鼻先を掠める。
車の中は密室なので、その持ち主の神谷の匂いが充満しているのは当たり前なのだが。
要の心臓が僅かに鼓動を早めてしまう。
まだ何もされていないというのに匂いだけで動揺するほど、要は神谷が好きだった。
神谷もまた、同じくらい要のことを好きでいてくれると分かっている。
滑らかに動き出す車の中で、要はどう神谷の誤解と怒りを解こうか必死に考えをめぐらせていた。



高級感溢れる神谷のマンションについたのは食事をした後だった。
すぐに部屋へと連れ込まれてセクハラされると思っていた要は少しだけ拍子抜けする。
とはいっても、要はとうとう神谷のテリトリーへ足を踏み入れるのだ。
拍子抜けしたすぐ後に、極度の緊張が体中を迫り上がってきた。
「・・・・・・あ、あの。神谷先生・・・・・」
涼やかな風貌にかけられたフレームレスの眼鏡を治しながら呼ばれた神谷が視線を向ける。
手にはコーヒーのカップが二つ。
どうやら話を聞いてくれる気はあるらしい。
「昼間のことなんですが・・・」
「・・・・・ああ、内線で早坂先生から事のあらましは聞いた」
言いながらカップにコーヒーを注いだ神谷がリビングのテーブルへとそれを置いた。
高い座り心地の良いソファにちょこんと座る要はその言葉にきょとん、と目を見開く。
「・・・・・え?」
「だから、早坂先生から聞いたんだ。要が酔って朝岡先生にキスをしたってな。
ただ酔っただけだから他意はないって。違うか?」
「い、いえ。間違いないです・・・それで」
要は心の中で早坂に感謝のガッツポーズを決めながら何度も頷いた。
それを目の端で捕らえながら神谷の唇が薄く笑う。
「要は酔えば誰とでもキスをするのか?」
「・・・えっ!?そ、そんなことは・・・ないです・・・」
隣に座られて再度緊張した要が首を振ってみせた。
しかし神谷の冷笑は止まらない。
「でも実際にはしているな?恋人じゃない人間とキスをしたら、浮気になるんじゃないのか?」
神谷の言葉に要の目が潤みだす。
まさか神谷からそんな風に責められるとは思ってもみなかったからだ。
言ってしまえば神谷はモラルの低い、あまりいいとは言えない倫理観の持ち主だ。
だからまだ病院に就職したての要に激しいセクハラをしてきたのだし、現在だってそれは変わらない。
その神谷に浮気だと言われてしまったのだ。
「・・・・そんなつもりは、なかったんですが・・・・すいません・・・」
要はふっと顔を伏せた。
このままでは泣いてしまいそうだったからだ。
神谷の言葉は事実で、軽率に酒に溺れてキスをしてしまった自分に腹が立つ。
いや、それよりも、それくらいで神谷は怒ったりしないだろうと奢っていた気持ちに腹が立つのだ。
もしも反対の立場で神谷が誰かにセクハラしていたとしたら、きっと自分は傷つくだろう。
「・・・・反省しているか?要」
頭上で神谷の声が聞こえた。
それに反応して要の頭が肯定の頷きを返す。
瞬間、要の肩は神谷の腕に捕らわれ、隣の長身の肢体に抱き寄せられた。
「・・・・・ッ・・・・・・」
「反省してるなら、今回は許す。・・・・・とはいっても、また大量の酒を飲まれては
困るからな。それなりに仕置きさせてもらうが」
仕置き、という言葉に要の肩が震える。
自分が悪かったとはいえ、いやらしい格好を強制されたりするお仕置きはやはり好んでやられたいものではない。
要は自分自身を奮い立たせながらそっと神谷の太股に片手を乗せ、顔を見上げた。
「はい・・・・今回のことは僕が悪かったですから・・・・」
「・・・・・・・そうか」
潤んだ瞳で自分を見てきた要に今度は神谷が身体を緊張させる。
こんな表情で見上げられたらそれこそ嗜虐心をそそるというものだ。
けれどそんなことも理解していない要にひどく愛情を感じてしまう。
自分の可愛い恋人に、神谷は満足そうにキスをした。
ちゅ、っと触れるだけの口付けが交わされ、僅かに要の緊張がほぐれる。
そこへ神谷が顔を至近距離に残したまま口端だけを上げて笑いかけた。
「なら、今日からプライベートでは名前で呼んでくれ」
この提案に要の顔が間の抜けたものになる。
いったいどんな想像をめぐらせていたのかと思うと、思わず神谷は口端がほころぶのを止められない。
「・・・・な、名前ですか?」
「そう、貴史・・・って」
耳元に息をふきかけるかのように囁いてみる。
すると要は感じたのか目を眇めて睫を震わせた。
「・・・・た、貴史・・・さん・・・」
照れたように視線を泳がせながら要が告げる。
それに満足したように神谷はもう一度軽いキスを落とした。
「・・・・ん、・・・」
要は甘い口付けを受けながら内心でほっと胸を撫で下ろしてみる。
神谷の言葉は思っていたものとまったく違い、優しい恋人のそれだった。
妙に緊張してしまった自分が恥ずかしい。
そう思った矢先だった。
「それと・・・」
「・・・そ、それと!?」
口付けを離した途端に神谷の口から漏れた言葉に要が目を見開く。
お仕置きはひとつだけだと思っていたのだ。
そんな表情で神谷を見上げると、神谷はそんなことを言った覚えはない、という顔つきで微笑んでくる。
「酒を飲むときは必ず俺も誘え」
またも肩透かしを食らったかのような言葉に要が唇を開いたまま呆けてしまった。
今度こそ何かセクハラまがいなことを言われると思ったのに。
神谷の口から出た言葉はどちらかというと自分を心配してくれている証拠だった。
多少の恋人としての独占欲も入っているのだろう。
酒を飲んでキスをするなら自分にしろ、と。
しかしそんな気持ちがまた嬉しい。
要は照れたように頬を緩めながら二度、頷きを返した。
「はい。・・・・・はい。必ず、そうします」
この言葉に神谷は満足そうに口元を笑ませる。
そして端整な顔立ちを要に寄せて、確認なのか誓いなのか、再び唇を吸う。
要はゆっくりと目を閉じてその口付けを受けた。
「・・・・・・・それから」
「そっ、それからァ!?」
閉じた瞳が自然と見開く。
そんな要を見つめながら神谷は近い耳を食んで言葉を告げた。
「剃らせろ」
「・・・・・・・?」
三度目の言葉には眉尻を下げて不思議そうな顔つきになってしまった。
きょとんとしたままの要は意味が分かっていない様子だ。
「何をですか?・・・・ま、まさか・・・頭!?」
と、要が髪と共に小さな頭を抱え込む。
その様子を傍目に見つめながら神谷の片手が軽く要の股間にタッチした。
「いいや。下の毛」
神谷の端整な顔立ちがにっこりと満面の笑みを浮かべる。
その顔は凶悪なほど格好よかったが、要には笑い返す余力など残されていない。
「・・・なっ、なっ・・・・」
口をぱくぱくと動かしながら青ざめた表情で神谷の顔を見上げた。
しかし神谷はしれっとした顔で要に笑みを浮かべている。
そして突然、問答無用に腕を捕まれソファから立たされてしまった。
「ま、待って・・・・・!む、無理です!」
「・・・・・要、言っただろ?これはお仕置きなんだ。お前が誰彼構わずキスしたり
足を広げたりしないように、俺のモノである証拠をもらう」
未だぶるぶると首を激しく左右へ振っている要を強引に抱きかかえると神谷は風呂場へ歩き出した。
高級マンションの浴室らしく、神谷の風呂場は二人で入っても十分に広い。
浴槽とシャワー、そして別に設けられたシャワーがもう一つ。
脱衣所ですら問題ない広さがある。
黒の光沢ある石で纏められた浴室はシャープでいかにも神谷らしい作りだった。
その脱衣所へ連れられてきてしまった要はまだ抵抗しようと両手で服の襟を中心へと引き寄せる。
脱がされてたまるものか、という彼なりの意思表示だ。
「・・・・・自分で脱ぐのと、俺に脱がされるのと、破かれるのはどれがいい?」
そんな要の額にちゅっと軽いキスを落とすと神谷が平然と告げる。
要がどんな抵抗をしようとも神谷には止める気など更々ないのだ。
鬼だ、変態だ、嘘吐きだ、と。
何度も罵ったことがあるが今日ほどそれを色濃く感じたことはない。
「どれも、どれも嫌です・・・・!」
まるで小鹿が狼に追われているかのような悲壮感漂う瞳で神谷を見上げた。
どうやらその顔には弱いらしく、神谷は整った眉先をきゅっと寄せてしまう。
そして年齢にしては可愛らしい顔立ちの要の顔をじっと見つめながら腕から要を下ろした。
「・・・・・なぁ、要。悪いのは誰だ?」
「うっ・・・・ぼ、僕です」
「そうだよな?俺に詫びる気持ちはあるんだろ?」
「・・・あります」
要はやや顔を俯かせながらもしっかりと相手に伝わるように頷きを返した。
「俺も下の毛を剃ったらこの件に関しては今後一切不問にするつもりだ。それでも嫌なのか?」
「・・・・・・・い、嫌です。何か、他のことで変えられるなら・・・!」
要は必死に訴えた。
ただのセックスをするだけでも恥ずかしくて死んでしまいそうになるのに、
よりにもよって恥毛を剃られるなんて耐えられそうにもない。
まだ得意ではないがフェラチオを強要されたほうがマシというものだ。
けれど要は理解していなかった。
神谷という男は、嫌がれば嫌がるほどやる気満々になってしまうということを。
「そうか・・・・・そんなに嫌か。上手に出来たら褒美に要の欲しがっていた薬剤書を買ってやろうと思っていたんだが」
「・・・・・・・・えっ・・・・」
要の顔が思わず上がる。
神谷は視線を要からずらし、天井を見上げながら残念、残念と呟いていた。
「キス罪免除と薬剤書・・・どっちも手に入るのにな?どうする?要」
ふふ、と神谷が唇を吊り上げて笑う。
要はかなり心が揺れるのを感じた。
同じ病院に勤めているとはいえ、新米看護師の要と信頼のある院内に二人しかいない
泌尿器・肛門科の医師とではやはり給料の額が違う。
そのため要はまだまだ家賃や食費などを払うのに手一杯、医学書を購入することなど夢のまた夢だった。
だから欲しい薬剤書を買ってくれるというのはそれはもう誕生日とクリスマスが一緒に来たくらいの嬉しさだ。
思わず要が動揺するほど医学書というのは高いものだった。
「・・・・・・・・・・」
要が頷くことも首を横に振ることも出来ずにいると、神谷はそれを肯定と取って要のシャツを脱がしにかかる。
「わっ・・・・!か、神谷先生っ・・・」
「貴史だ。・・・・・要、それだけ嫌がるってことはやっぱり誤解じゃなく浮気でも
してるんじゃないのか?相手に見られたくないから、それだけ嫌が・・・」
「それはありません・・・!」
神谷の言葉を遮るように要が叫んだ。
その勢いに一瞬神谷が怯んだが、すぐに今がとどめの刺し時だ、と笑みを浮かべてシャツのボタンを外し始める。
「なら、問題ないだろ?誰に見せるわけでもない。生え揃うまでせいぜいお前と俺しか目にしないさ」
「そ、それが・・・・!」
恥ずかしいんです、と要は言おうとして口を塞いだ。
恋人である神谷に見られるのは照れるし、恥ずかしい。
それは好きだからこそ湧き上がってくる感情なのだが、それを言ってしまえばまた神谷は調子に乗るだろう。
「・・・・・・・・・わかりました、わかりましたよ!もういいです、それで手を打ちます!」
要は決意したように拳を震わせながら言い切った。
その頃にはすでに神谷の手によってシャツの前ボタンは脱がされてしまっている。
肌蹴られた胸元にそっと手を這わせながら神谷の悪魔のような笑みが薄く浮かんだ。
「・・・・・じゃあ、俺は要の陰毛を剃る、要はキスをしたことへの不問、それと薬剤書が手に入るってことで」
「・・・・・はい」
かぁ、と僅かに頬を赤くした要が小さく頷きを返した。



全ての衣服を脱ぎ去った二人は神谷の家の大きな風呂場へと移動した。
濃いブルーで纏められた浴室はいつも落ち着いた気分で入浴することが出来る。
けれど今日だけは違っていた。
要は浴槽の縁へ全裸のまま座らされているのだ。
しかもたいていは自分一人でシャワーを浴びているのに今日は目の前に神谷がいる。
要は閉じた膝を擦り合わせるようにもじ、と捩った。
「・・・・・要、足を開かないと剃れないんだが」
カミソリに剃毛用の泡クリーム、ふわりとした肌触りのフェイスタオル。
それらを用意しながら神谷が告げる。
促された要は足を広げようと膝を震わせたが、再びすぐに閉じてしまった。
「なんだ?俺に無理矢理足を開かされるのが好きなのか?」
神谷は整った眉を上げて笑いを漏らすと、要の細い足首を掴んで片方の膝の皿へと口付けを落とした。
柔らかで湿った触感が膝頭からじんわりと伝わってくる。
要はきゅっと目を細めて首を左右へと振った。
「そ、んなこと・・・ないです」
自分の前で膝立ちになって視線を絡めてくる神谷に要は弱ったような顔を返してしまう。
心はちゃんと神谷に足を広げるつもりでいるのに、いざやろうとすると羞恥が先立ってなかなか実行できない。
要はそんな自分に少なからず自己嫌悪を覚えた。
好きと言えない。
好きな気持ちを態度でもなかなか表せない。
それではいつか、神谷に呆れられてしまうのではないかと。
要の顔が知らず俯き加減に落ちる。
「・・・・・・要、俺はお前の可愛い顔が好きだし、敏感な身体が好きだし、あわよくば
いつでも襲ってやりたいと思っている。俺が優しい自制心を保っていられるうちに、行動してくれ」
神谷は無理に要の足を開くことはせず、足首から手を引くとシャワーのノズルを取ってお湯を出した。
静かに立ち上ってきた湯気が神谷の眼鏡を半分ほど曇らせる。
それをタオルで拭うと、神谷はまるで要の不安を知っているかのように要のこめかみへとキスをした。
その確かな温もりが要の不安をゆっくりと解いてゆく。
そして彼の視線から逃れるように閉じていた膝が僅かに震えた。
「・・・・・僕も、かみ・・・・ッ、貴史、さんが・・・好きですよ?」
ちゃんと、と消え入りそうな声で呟いてから、要の膝が徐々に開かれてゆく。
白い肌の狭間に陰毛とペニスが現れると神谷は小さく笑って何度かこめかみにキスをした。
「ああ。ちゃんと可愛がってやる」
くすり、と肌を粟立たせるような笑い声が耳に滑り落ちてきて、神谷の指先が要の股間へと伸びてきた。
お湯を出しっぱなしで床に放っておかれたシャワーのノズルを手に取るとゆっくりと陰部を湿らせてゆく。
シャワー音と共に身に注がれる熱すぎない湯は、腹に当たって水しぶきを上げながら
要の黒く縮れた陰毛をしっとりと濡らした。
いつもは自分で身体を洗うから問題のない動作でも、誰かにやられると妙なこそばゆさを感じてしまう。
要はお湯の刺激だけで自分の身体に淫靡な熱が燈るのを心の中で否定した。
「っ・・・・・・!!」
ふいに要は肩と共に身を竦めてしまう。
陰毛の下の地肌への刺激が、いきなり温かなお湯の感触から冷たい泡の感触へと変化したのだ。
見れば神谷の手の中で粟立てたシェービング用の泡がべっとりと股間に塗りたくられている。
白の泡の中にところどころ見え隠れする自分の恥毛が淫猥さを過剰にしていた。
「・・・要、怖かったら俺の顔だけ見てればいい」
神谷の、いつもの口ぶりがどことなく頼れる感じがしてしまう。
要は言われた通りに視線を神谷の顔へと移し、そこから外さないよう留意した。
用意したカミソリは新品で再び床に置かれたシャワーから流れ出るお湯の湯気で僅かに曇っている。
その先端を恥部に当てられると要の目が潤みを帯びて細められた。
「っ・・・・・ん、冷たい・・・です」
震える膝を必死に開いたままにしながらそう告げる要に、神谷が了承の頷きを返す。
けれど神谷は手を引く気など更々無かった。
普段、病院で触れる要の肌はさらりとした質感で肌触りがいいが、
今日は湯気のせいかしっとりと水分を含んでいる。
さらにシェービング用の泡がカミソリの刃の滑りを良くしてつい、と指を動かすだけで毛は剃られた。
「ッ・・・・・!」
じょり、と音がして泡と共に黒い陰毛がカミソリの刃に乗せられる。
神谷は少し嬉しそうな表情でその泡をタイルへと捨てた。
そして再び刃が柔肌へと当てられ、縮れた黒い体毛を剃りとってゆく。
「・・・・・・要の肌はカミソリ負けしそうだから、丁寧にやらないとな?」
神谷の言葉に要の膝が揺れた。
確かに要はあまりヒゲなども生えず、カミソリの刃の刺激には弱い。
浴室にはじょり、じょり、と普通の音のはずなのにどこか猥雑な雰囲気を絡めた毛を剃る音が響いた。
泡と毛が剥がれた陰部は肌の色が露出していて少し寒さを感じる。
要は多少の好奇心と肌への不安からちらりと股間を見やった。
「・・・・ッ!・・・・」
瞬間、既に半分ほど剃られてペニスへと続く肌がむき出しになっている様子を目にしてしまう。
それは何かおかしな感覚だった。
小学生だった頃は確かにこんな風体だったはずなのに。
今の自分は陰毛がないことが恥ずかしいと思ってしまう。
そのままちらりと視線を神谷の顔へ戻すと、彼はこの淫行を心底愉しんでいるように微笑を浮かべていた。
「いいから・・・早く、してください・・・」
実は先ほどから胸のざわめきが激しく、止まってくれそうにない。
要は小さな声で懇願するようにお願いした。
神谷は聞いているのか聞いていないのか、頷きだけは見せるものの手を早める動作はない。
シャァーっと音を立ててお湯を流すシャワーが泡とともに要の恥毛を排水溝へと流していった。
その隙間に引っかかった一本を見つけると、余計に恥ずかしくなって要は目を閉じる。
丁寧に当てられたカミソリの刃が右半分も剃り終えて肌から離れた。
そして間髪いれずに神谷の片手が要のふにゃりとした性器を持ち上げる。
「ぁっ・・・・!」
瞬間、要の目が見開いて我慢していた熱が弾けるのを感じた。
それと同時に要のペニスがひょこん、と頭を擡げてしまう。
剃られる行為とその背徳感。
視界に入った淫靡な映像と鋭利なものを肌にあてられている緊張感。
そんなものが胸の中でぐるぐると巡り混ざって、要は予期せずに興奮してしまっていたのだ。
「・・・・・っと。・・・要、それは後でちゃんとやってやるからな?」
くすり、と笑いを漏らした神谷は手で持ち上げている・・・いや、自ら持ち上がりかけている
ペニスの先端へと口付けた。
その唇の感触でさらに男根が堅くなってゆく中、神谷は僅かに残るペニスの裏側付近の毛を剃りこむ。
満足した神谷は泡と毛のまとわりついたカミソリを軽くお湯で濯いで小物置き場へと無造作に置いた。
「・・・・やはり、少し赤くなってしまったな?」
指先を伸ばしてゆっくりと剃り取った地肌の上を滑らせてゆく。
そのせいで内股がきゅっと締まって神谷の腕に膝を当てた。
そんな動作を見つめながら神谷は益々口端を上げてわざと中心部には触れないように
陰毛のあった部分をなぞってゆく。
「いや・・・・・それとも肌全体が上気してるのか?・・・・・ココも、色が濃くなって欲情して」
じわじわと追い詰めるように触れていた指が、ふいに勃ちあがりかけている性器の先端へと触れた。
「ゃっ・・・・!ぁ、・・・ッ・・・・・・・」
こくん、と唾液を飲み込む要の喉が大きく隆起する。
それと同時にぴん、と張った要の男根が鈴口を上へと向けた。
「赤くて、美味そうだ」
神谷は膝立ちから腰を落として要の中心に顔を寄せる。
そしてふぅ、と柔らかい息を吹きかけると、股の合間で反り勃つ屹立はぷるっと震えて血管を太くした。
「ぁ、ぁっ・・・・」
要の爪先がきゅっと曲がり、息と鼓動が上がるのを神谷は見逃さない。
そのまま続けて舌を伸ばしちろちろと前後に動かしながらペニスの先端を掠めた。
すると再び要の内股が振るえ、ぎゅっと浴槽の縁を両手で握る腱の動きが見て取れる。
「・・・・・要、見てごらん?」
神谷の甘い声に囁かれて要は快感に伏せていた瞳をゆっくりと押し開いた。
自分の肉体は撓るように斜めになっていて、浴槽にかろうじてしがみついている状態だ。
そして視線の先にはぷっくりと膨らんだ胸の突起と、隠すモノが何もなくなったむき出しの性器。
自分の足の間には神谷がいて赤い舌先を伸ばしながら要の顔を見上げていた。
「どうだ?・・・・イヤラシイと思わないか?」
目を細めて笑う神谷はどこか要をからかうような色合いが見て取れる。
神谷はこういう時に恥らう要の姿が気に入っていた。
だからこそ、こうやって苛めてついその顔を見たくなってしまうのだが。
苛めすぎて要に泣かれて困っても、なかなか態度を改めようとは思わない。
喉元過ぎればなんとやらで一瞬反省はしてもまたすぐに要をどう辱めてやろうかと企んでしまうのだ。
だからセックスの時もつい言葉で攻めてみたり、道具で攻めてみたりしてしまう。
「・・・・ッ、い、意地悪っ・・・・!」
今もセクハラまがいの言葉を耳にした要は顔を真っ赤にして怒っていた。
神谷にとってこの恋人はもう本当に可愛くてたまらない。
ほとんど毎日のように院内で要に手を出すのも我慢がきかないからだ。
神谷にとってこれほど我慢のきかない相手は要が初めてだった。
「ん?俺は意地悪か?・・・・そうだな、なら、今日はお前の言う通りにしてやろう」
神谷は愛しそうに目の前のペニスへ口付けると笑顔満面で要の股間から顔を引く。
唇の柔らかな感触で再び感じ、肌を振るわせた要はしまった、と目を見開いた。
神谷に余計な口実を与えてしまったのだ。
要は中心に燈った熱に瞳を潤ませながら首を左右へと振ってみせる。
しかし神谷は微笑み返すだけで助け舟を出してくれる様子はない。
「・・・・・・・・」
要は小さく眩暈を感じた。
シャワーの音がやけにうるさく聞こえてくる。
立ち上ってくる湯気もまるで精神をおかしくする麻薬のようで、要は何度か瞬きを落とした。
「あ、あの・・・・ッ」
「なんだ?」
ようやく口を開いた要に神谷が首を傾げる。
こういう時は要が恥ずかしい言葉で誘うまで許してはもらえない。
要は神谷のやけに男前な顔をちらりと見やって溜息をついた。
「舐・・・めて・・・」
か細い声が浴室の湿った壁へ浸透する。
神谷は目を細めて頷きを返した。
「ああ、いいぞ」
言いながら目の前にある形を変え始めたペニスの窪みを舐め上げる。
刺激を待ち望んでいた男根はさらに硬度を増して反り返った。
要は再び目を閉じて下股を濡らす刺激に感覚を集中する。
神谷は口を大きく広げて亀頭を口内へと引き込んだ。
「・・・ッ、ぁああっ・・・・んっぅ」
熱いくらい温かく、粘膜に覆われた神谷の口の中は完勃ちするに申し分ないほど気持ちがいい。
要は全身の血がソコに凝縮されるような錯覚に陥ってしまう。
口に含まれただけでも感じてしまうのに、神谷の唇は皮膚を摩擦するように動き出した。
「ぁ、ぁ・・・・ッ、はぅん・・・・ンっ」
鼻先から蕩けるような声音が漏れる。
先ほどまではあまり積極的に開こうとはしなかった膝頭がぐっと外側へ向けられたことを要は意識していない。
舌先が裏筋を舐めるように刺激して時折触れる歯が勃起したペニスを扱いてゆく。
要は両手で必死に浴槽に捕まりながら白い喉を仰け反らせて悦楽に悶絶した。
「ぁああ、ァ・・・・やっ、そんなに・・・吸うとっ・・・あんっ!」
唾液が絡んだ舌先が割れ目に触れてじゅるっと強く吸いたててくる。
その動作が益々体中に甘い痺れをもたらせた。
「・・・・・・・・・・・」
要が淫行に夢中になりはじめた頃を見計らってふいに神谷が口淫を止める。
そして手の甲で唇の端についた唾液を拭いながら口端を上げた。
「・・・それから?舐めて、それから・・・?」
どうやら意地悪な恋人は陰毛を剃っただけでは飽き足らず、要に全てを言わせないと満足しないらしい。
股の中心にどうしようもない熱を持て余した要は眉尻を下げながら唇を窄めた。
神谷がその表情を見て要が自分を拒否するかと危惧した瞬間、神谷の頭が要の胸に抱き寄せられた。
ふわりと要の匂いが鼻腔を擽る。
「・・・・・た、・・・貴史さんの・・・好きなように抱いて、ください」
出しっぱなしのシャワーの音にかきけされてしまうほどの音量で要が呟いた。
思いもかけなかった要の行動にいつも薄ら笑いを浮かべている神谷の表情が崩されてしまう。
いつもは嫌だ、恥ずかしい、という要なのに。
少しづつでも自分に慣れてきた相手が愛しくてたまらない。
神谷は両腕を伸ばして要の身体を抱きしめ返した。
「ああ、わかった。・・・・・容赦はしないぞ?要」
くすり、と笑いを浮かべた神谷の顔はいつもの嫌味なそれではなく、僅かに照れを帯びた優しい笑いだった。
神谷は要の首筋に噛み付くようなキスをして赤い充血の痕を残し、ゆっくりと浴槽を覆う蓋の上へと押し倒す。
プラスティックで出来た蓋は奥にお湯が張られていてもなお表に冷たさを残していた。
要はそのひんやりとした感触に小さく身震いを起こしたが嫌がる仕草は見せない。
神谷は隆起した要のペニスの周りの肌を掌で愛撫し始めた。
どことなくざらりとした手触りが神谷の掌を愉しませる。
「っ、・・・・ん・・・」
促されるままに両方のかかとを浴槽の縁に乗せた要は喉に溜まった唾液をごくりと飲み込んだ。
「要のココ、全部曝け出されていて妙にソソるな・・・・・欲しがって勃起しているせいで睾丸まで丸見えだ」
言いながら神谷の指先が陰毛のあった場所、反り立つ性器、ふっくらとした玉袋、と移動して突付いてゆく。
要はいちいちその刺激にぴく、ぴくっと内股の筋肉を震わせて反応を見せた。
そのうちに神谷の視線は睾丸の下、まだ固く閉ざされた蕾へと向けられる。
「っ・・・・・・・・!あっ、そんな・・・トコッ・・・・」
ぎゅう、と皺を寄せた肛門へ指を触れさせ後を追うように神谷の舌先がそこへ宛がわれた。
「そんなトコロ?・・・・俺を受け入れる、大事な器官だろ?」
笑いを含んだ声音は少しだけ舌足らずに動いて、アナルに舌先が触れていることを示す。
まだ堅い入り口は柔らかな舌の侵入を許すことはなかったが唾液で濡らされると僅かに蠕動した。
神谷の左手が要の太股を掴み、大きく開かせながら右手で屹立をぎゅっと握る。
「あぁっ!・・・・ぁ、ぁ、・・・・」
びくんっと要の身体が跳ねて下にあるプラスティックの蓋が音を立てた。
股間へのダイレクトな刺激は脳を破壊するほど恍惚を引き出す。
「・・・・要、自分で乳首を弄ってみな?感じれば感じるほど、ココが緩む」
神谷の大きな掌が掴んでいた太股から臀部に移動して柔らかな尻肉を掴んで揉んだ。
「ぁ!・・・んぁ!・・・・やっ、ぁ・・・ん」
要は薄目を開けて天井を見つめながら性器から蜜がとろりと溢れだすのを感じる。
その甘い快楽に惑わされるようにゆっくりと両手を自分の乳首へ宛がった。
つん、と堅くシコった突起が指の腹に触れる。
瞬間、要の顎が反り返って神谷の手を押すようにペニスが膨らんだ。
「ぁあ・・・・・っ、ん・・・・」
しっとりと肌が汗ばんでくると右膝から力が抜けてへにゃりと伏せてしまった。
その様子を目で愉しみながら神谷の舌先が媚孔を擽り唾液で湿らせてゆく。
尻を揉んでいた片手は横へ伸ばされ、陳列する容器の中からボディソープを選んで引き寄せた。
そして片手で器用にポンプ式のヘッドを押して手の平へと乳白色のどろりとした液体を乗せてゆく。
「もっと、爪で引っかいて・・・指で摘んでクリクリしてやれ」
神谷の囁きにはどこか欲情めいた色が乗ってきた。
シャワーから出ているお湯で最初のうちは曇っていた眼鏡だが、今は視界をクリアにしてくれている。
股間から覗く要の痴態は見ているだけでも神谷の身体を火照らせた。
「ぁ・・・・ッ、ん・・・・ぁ、やっ・・・・き、もち・・・いい・・・」
右手で右の乳首を、左手で左の乳首をぐりぐりと捏ね回しながら要が思わず口走る。
その言葉をきっかけに神谷は秘部を舐めていた舌を戻し、
代わりに掌にべっとりとついたボディソープをなすりつけた。
「ひゃあ・・・!」
突然のひやりとした刺激に要の背が仰け反る。
そのせいで僅かに浮いた腰を片手で捕らえて自分のほうへと引き寄せた。
アナルが宙に浮くくらいで止められた要の身体は片足がタイルへと落ち片足の爪先が縁を掴んでいる。
「・・・・ああ、下の毛がないから先走りがそのまま流れてくるな」
視界に収まった淫靡な風景に笑いを潜めながら神谷が告げた。
そしてなすりつけた白いボディソープと、肌を伝って流れてきた要の先走りをわざと混ぜて指先に絡めてゆく。
ぐちゅ、っという濡れた音が辺りに響いた。
「・・・はぁ、・・・・・ぁ、はぁ・・・・」
荒くなってきた呼吸を整えようと要が肺を膨らませて息を繰り返す。
神谷は十分に準備を行うと要の蕾へ中指を潜りこませた。
「・・・ッああっ!」
ぐにゅるっと入ってくる確かな異物感に要の目が見開く。
するとそうなることを見越していたかのようなタイミングで神谷が要の顔を上から覗き込んできた。
浴室のオレンジ色の柔らかな照明が神谷の頭によって遮られ、要の顔に影を落とす。
要は一瞬身体を緊張させていたが、神谷が視界に入ってきたことで安心したのかゆっくりと硬さを解していった。
「・・・っ、ん・・・ぁ、ぁ・・・ンッ・・・・」
小刻みに喘ぎ声を漏らしながら要の唇が開く。
プラスティックの蓋に押し付けられた背が僅かに痛かったが、今はそれどころではない。
先を割ってきた中指は中ほどまで肉を穿ってくると、少し引いて今度は強い力でぐいっと奥へ押し込められた。
「あんっ!・・・・、・・・・・・」
要の声にならない訴えが喉をひくつかせる。
度重なる情事で慣れた身体は多少のことならば順応できるように変わってしまっていた。
だから神谷のこういった行為にも身体はもっともっとと貪欲になってしまう。
「・・・・・要の中の、ぎゅうぎゅういって指を離さない肉壁がエッチに動いてる」
囁きながら神谷は要の胸元を口吸って痕をつけてゆく。
尻肉の奥の淫らな指の動きから反射的に要は首を振って逃れようとした。
けれどしっかりと捕まれた腰は後退することを許されない。
それどころか蕾の奥の上部分を爪で擦られると甘い声で鳴きながらペニスを膨らませてしまった。
じゅくじゅくっと割れた窪みから先走りが漏れる。
「ゃ、ぁ、ぁっ・・・・・、はや、・・・・っ・・・・」
要は思わず早く、と言おうとして口を噤んだ。
しかし途中まで漏れた言葉に神谷は口端を上げている。
「ああ、すぐに結合してやる」
そして今度は喉元に口付けた神谷の唇がそこを赤く充血させた。
続けざまに二本の指を追加されたアナルがぎちぎちになって再び緊張し始める。
「ああっ・・・・!」
それでも指を前後に揺さぶられると気持ちよさに要が頬を赤くする。
神谷は要の肛門を右手で攻めながら、自分の陰茎を左手で包み軽く刺激するように扱き始めた。
要のペニスと違い、乾いたペニスからしゅ、しゅ、っと擦る音が響く。
その音に要がつい視線を向けると神谷の怒張が目に入ってきた。
大きく反り始めた楔は要と性交するためにどんどんと膨らんでいっている。
「っ・・・・・・」
要は思わず喉を鳴らした。
瞬間、神谷は視線を菊門から要の顔へと移動させて瞬きを落とす。
「・・・・要、今何を考えた?中がぎゅ、ってして、指を締め付けてきたぞ」
要の視線とぶつかった時点で自分を見ていたことに気づいているはずなのに、神谷は意地悪くそう告げた。
その言葉に要の頬がますます赤くなってしまう。
「・・・・、な、にもっ・・・・」
否定するように首を振る要に、神谷はアナルを解していた指を引き抜いて微笑みかけた。
「へぇ・・・・まぁ、いいさ。答えは身体が教えてくれる。・・・・・コレを欲しがってたって・・・な?」
神谷の怒張した男根が小さな蕾へと押し当てられる。
そして有無を言わさぬ力でメリメリと肉を割って先端を潜らせてきた。
「・・・・っ、ぁ・・・!い、た・・・・っぁ・・・・」
ボディソープが滑って太い陰茎を媚孔が食んでゆく。
しかし圧倒的な質量に要は目尻に涙を溜めた。
「っ・・・・く・・・・、中・・・熱くて狭くて・・・イイ」
はぁ、と息を吐き出して先端部分を突き入れた神谷はそこで一度止め、ゆっくりと要の蕾を串刺してゆく。
ぐいぐいと肉を割られた秘部は最初のうちは拒絶を示していたものの、
だんだんと内壁の締め付けが緩くなってきていた。
竿の部分も入り口を通っていくと要は肛門に突っ込まれながらペニスがびんびんに
勃起しているのを目の当たりにしてしまう。
これが最初でないというのに、陰毛がないだけで死んでしまいたくなるほど恥ずかしく感じられた。
男に犯されて感じている証拠が腹の下で天を穿っている。
「・・・ゃ、あんっ・・・・ん、ぅ・・・・」
目を伏せて首を振った要の唇に神谷の唇が重なると要の身体を支えるように
抱きしめながら神谷の腰が動き始めた。
最初は緩く、時折速く、断絶的に強いストロークを交えながら快感のポイントを突いてくる。
要はピストンの動きに合わせて身体全体を揺らしながら鼻息を荒くした。
「ぁあ、・・・・ァ、んっ・・・!ぁ、ぁっ・・・・ッ」
出したいと思っているわけでもないのに、ひっきりなしに鼻にかかった甘い嬌声が漏れてしまう。
絡み合った下股では神谷の陰毛が要の尻肉を擽っていた。
「ぁ、ぁっ・・・・た、かし・・・っさんッ・・・ああんっ!ん、ん、・・・んぁっ」
名前を呼ぶと、そのときだけ神谷の動きが鈍くなるように感じられる。
要は熱で潤んだ瞳と指先を神谷の顔へと向けた。
人差し指と親指が神谷の眼鏡の縁に触れると、自分の熱気のせいかそこからじんわりと眼鏡が曇ってゆく。
そこで神谷はお返しとばかりに腰を強く打ち付けた。
「ぁああっ!!」
要の手が離れ、背が大きく仰け反った。
白い喉はむき出しになってペニスの血管がどくんと脈打つ。
「・・・・可愛い体だな、要。俺の陰茎を包んで離さないように締め付けてくる」
神谷も荒い息を漏らしながら要の目を見つめた。
そしてちゅ、ちゅっと何度も唇にキスをしながら腰の動きを速めてゆく。
重なった唇のせいで密着した体はさらに激しくお互いを貪りあっていった。
熱く堅い芯は蕾の奥の肉壁を擦り、混ざり合う体液が淫猥な水音をシャワー音に絡ませる。
「・・・・俺以外の誰にも、この可愛い身体を見せるなよ?」
言いながらグラインドした結合部が熱い中心点を穿つようにぱんっ!と音を立ててぶつかった。
神谷は矢継ぎ早に腰を引いたかと思えばまた押し当てて、凝縮した熱を要の奥深くへと打ちつける。
中の襞壁は赤く充血して動くに申し分ない柔らかさと、神谷の肉茎を刺激するきつい収縮を伴っていた。
「ぁあっ!!・・・・ァ、はぁ、ん・・・・ッ、貴史、さんっ・・・だけ・・・です」
弾む息の隙間に必死に要が訴える。
すると神谷は満足したように笑みを浮かべて頷きを返してくれた。
そして深部へと押し進んできた神谷のペニスを内壁が蠕動してぎゅう、と絞りたてる。
二つの熱はもう頂点に達する限界だった。
「くっ・・・・、要ッ・・・・」
神谷が片目を細めてその高まりを先端に集める。
同時に要もまた、穿たれる内部からの悦楽と共に勃起したペニスから濃厚な精液を湿らせた。
「ぁ、ぁっ・・・・ンっく、ァ!・・・・・た、かし・・・さっ・・・あぁ、ああああっァんっ・・・あ!」
びゅくびゅくっと神谷の腹を濡らすように何度も射精する。
「っ・・・・かな、め・・・」
名前を呼ばれた神谷もまた、要の熱い滴りを腹に受けながら内部へと種を植え付けた。
濃いそれは媚孔の中でボディソープと混ざり、突き上げを緩めない神谷のペニスで
ぐちゅぐちゅと淫猥に音を響かせる。
「・・・・・・、ッは・・・・はぁ・・・ぁ、ハァ・・・」
アナルに精液を飛ばされて恍惚と天井を見上げていた要が息を吹き返したかのように呼吸を繰り返す。
下股が出された種液のせいで焼けるように熱く感じた。
「・・・要、・・・」
同じように荒い息を落としながら神谷が唇を食んでくる。
それに答えようと両腕を神谷の首に回して要は目を閉じた。
舌と舌を絡めあい、互いの存在を確かめるかのように口腔の奥まで舌を交差させる。
股間の甘い倦怠感とあいまって、それはとても幸福なキスとなった。



風呂場から出た要はパンツを穿く時に出来るだけ下股を見ないように注意しながら着替えた。
下の毛が生え揃うまではこんな風に着替えをしなければならないかと思うと、先が思いやられる。
けれど要には毛を剃られた股間を直視するほどの度胸はなかった。
「要、なかなか燃えたな」
タオルで髪を拭きながらリビングへ戻ると、神谷がそう声をかけてくる。
それを恨めしそうに細めた瞳で見やって要は肩を落とした。
「・・・・・燃えたって・・・・僕は、必死だったんですよ?・・・でも、お詫びの代わりだからって・・・」
ぶつぶつと文句を言い出した要へと淹れ直したコーヒーを差し出しながら神谷はにやりと口端を上げる。
「ああ・・・口実だがな」
「そう、口実・・・・えええ!?」
要は思わず首を直角に曲げて神谷を振り返った。
当の神谷はしれっとした表情でカップを片手にソファへと腰を下ろしている。
「お前が浮気できる甲斐性を持ってるか持っていないかなんて、簡単に分かるだろ?
剃毛してみたかったから、口実に使っただけだ」
くっく、と喉奥で笑いを抑える。
その様子に要の手が震え、濡れた髪先から雫が零れた。
「・・・・ひ、ひどい・・・!じゃあ、僕の薬剤書は!?」
要の口から漏れた言葉に神谷は小さく目を見開いた。
思わず突っ込みどころはそこじゃないだろう、と要を諭してしまいそうになる。
「ちゃんと買ってやる。だから・・・・これからもちゃんと名前で呼ぶんだぞ?」
言いながら尻を触ってくる神谷から身体を仰け反らせて逃げながら、要は僅かに頬を紅色に染めた。
「・・・・はい、後・・・お酒も、かみ・・・貴史さんと一緒に飲むようにします」
タオルを口元にもってきて、もごもごと喋るそこを隠しながら告げた要に神谷が満足げな笑みを浮かべる。
テーブルには二人分のカップが柔らかな稜線を描きながら湯気を昇らせていた。



「Honney Poison☆」



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