Original Boys Love Novel 11

KISS TO KISS
LEVEL 11 美しいバラには刺がある・・・?







ずっと好きでいてくれる?
つないだ手を離したら
ここに戻ってきてくれる?

君は永遠を信じてる?
変わらない想いがあるって事
証明してくれる?

ぎゅっと抱き締めてくれる?
そのままのむくな微笑みを
僕に向けてくれる?

謎を解いてくれる?
君が僕をどう思っているのか
本当の気持ちを教えてくれる?





あやかが帰り後始末をつけた和輝は、ホットミルクを作るとカップを握り締めながら溜め息をついた。
やっと、ゆっくり出来る。
ここ数日間、和輝に休息はなかった。追いかけたり追われたり・・・実にエキサイティングな日々を送っていたのだ。
もちろん喉元過ぎればなんとやらで、あやかと想いが通じ合った今では微笑ましい日々なのだが。
「よし、今日はゆっくりコーヒーでも飲むか」
すでに辺りは暗くなり、ゴールデンタイムのテレビからは雑音のような笑い声が聞こえてくる。
和輝はコーヒーを入れようと、コーヒーメーカーに手をのばした。その時、ピンポーンとチャイムが鳴った。
「新聞屋か?」
少々うざったそうに和輝は立ち上がり、玄関へと足を向ける。かったるい身体に鞭を打って玄関を開けると、
見慣れた顔がばつの悪そうな表情で立っていた。
「あはは、貴子ちゃん、登場でっす」
右手をひらひらさせながら挨拶をする。そんな様子の貴子に和輝は眉を寄せた。
「何やら私の気配りが話をこじらせたようで・・・」
「気配りだと・・・?」
和輝の怒りのボルテージがMAXを越える。
「いらぬ世話っていうんだ、そういうのは!」
大きな声でどなられ、貴子が肩をすくめた。
「悪かったってばぁ。あやかさんは落ち込むし、和輝は携帯に怒鳴るわでけっこう大変だったのよ!私も!」
だから、それは全てお前が招いた結果だろう、と和輝は突っ込みたかったが、貴子に紙袋を渡され言葉が途切れる。
「・・・何だよ、これ」
無印良品の茶色い袋をしげしげと眺めながら和輝がたずねた。すると貴子が開けてみれば、というジェスチャーを返す。
「ビデオ・・・テープ?」
 中身は一本のビデオテープだった。しかもご丁寧にラベルが貼ってあって、藤臣和輝様と書いてある。
「さっきあやかさんと道で会ったのよ。和輝んちから帰る途中だったんでしょ?
その時に、渡すの忘れたから届けてくれって頼まれたのよ。
ちなみに私、中身は知らないわよ!あやかさんも言わなかったし」
あやかから渡された謎のビデオテープ。ここで安易に想像がつくのは、あやかが出ているAVのビデオではないかと言う事だ。
「逢えない時の対策か・・・?」
「何わけの分かんない事いってんのよ」
独り言を貴子に突っ込まれ、和輝が赤面する。
「で、結局くっついたの?」
貴子がにやりと笑いながらつぶやいた。
「は?」
「はぐらかさないでよ。あやかさんから事情は聞いてるのよ。泣きながらラブホテルから電話してきたんだからね。
全く・・・離したくないとか思ってるくせに、自分からお別れしちゃうなんて、ばっかじゃない?」
貴子の言葉がぐさぐさと和輝に突刺さる。
「男ってロマンチストが多いわよね、本当に。・・・でも想いが伝えられてよかったね」
にっこり、と貴子が笑った。
「幼馴染なんて損だよね。和輝がどれくらいあやかさんに本気だったかなんて、すぐに分かっちゃうんだから。
やっぱりさ、初めての恋なんて応援したくなっちゃうじゃない。それってずるいと思うのよね!」
「ず、ずるいって・・・」
貴子の弾丸トークに和輝は思わず身を引いてしまう。
「結果的にうまくいったんだから、少しは感謝してもらいたいわ!・・・うん、ほんと。良かったわ」
なにやら一人で納得すると、貴子は再び右手をひらひらと左右に振った。
「っちゅうことで、ちゃんと渡したからね」
ビデオテープを指差すと、貴子は玄関のドアをゆっくりと閉め始める。
「・・・和輝、AVに引き渡そうとしたこと、まだ怒ってる?」
うかがいを立てるような眼差しに、和輝は首を横に振った。
もしも貴子の陰謀がなかったら、自分はあやかと出会えなかった。だから、今は怒ってない、と。
「ありがと!・・・いろいろごめんね。じゃあ」
貴子が笑うのを、締まるドアのすきまから垣間見えた。
和輝はしばらくその場に立ち尽くしていたが、ふと、もらったビデオテープの中身が気になって自分の部屋へとひきあげる。
「どう見てもこの間のホモビデオとパッケージが同じなんだけどなぁ・・・」
和輝はテープをデッキにセットすると、リモコンの再生ボタンを押した。
少しの間黒い画面がテレビに映ったが、そのうち見た事のある風景と人物が出てきた。
一人はもちろんあやかだ。問題はもう一人のほうにある。
「こ、こ、・・・これって!」
和輝の顔が蒼白になる。 『何するんですか!いきなり・・・。こんなところに連れ込んで、からかってるんですか?それとも・・・』
『黙って』
ビデオから覚えのある会話が紡ぎ出される。その度に和輝が慌てたように手足をじたばたさせた。
「ちょっと待て!こ、これは・・・」
確認するようにテレビ画面に視線を送ると、そこには自分のあられもない姿が映っている。
「・・・お、俺とあやかが公衆トイレでやったやつじゃないか!」
和輝は倒れそうなほどのめまいに襲われた。まさか自分までホモビデオに出演することになるとは・・・。
「これを全国のホモが見るのか・・・?」
思わず恐ろしい考えをしてしまい、気分が悪くなってきた。かつて自分がやったように、
このビデオがおかずにされてしまうのはちょっと嬉しくない。
「くっそう・・・貴子の奴――――――――ッ!」
和輝の怒声が家中に鳴り響いた。この声を聞いた貴子が自宅を逃げるように出て行ったのは、その数分後だった。








END


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