Original Boys Love Novel 04

KISS TO KISS
LEVEL 04 唇で伝えたい、情熱







わかっていた
初めから惹かれていた
すぐに愛だとわかった

けれど夢は夢のまま
腕はかわらず虚空をかき抱く

まだ逃げないで
まだ伝えてないよ
この気持ちをどうすればいい?





男が抱けるかなんて、唐突な質問を投げかけたあやかは、昼間からあまり人気のない公園へと飛び出してしまった。
「あ・・・」
和輝もワンテンポおいて飛び出す。
すでにあたりは暗くなり、街灯の光がほのかに二人を照らし出している。
和輝は持ち前の俊足であやかを捕まえると、自分の肩に抱え上げた。
「離して!」
だだをこねるかのように暴れるあやかをそのまま茂みに連れ込むと、腕を押さえて無理矢理キスをした。
出会ってからまだ半日もたたないのに、何度口付けをかわしただろうか。
「かず・・・ま・・・って」
激しくキスをしながら、あやかの上着のボタンを外す。
和輝は、自分の行動力に自分で驚いていた。今まで、こんなにも何かに執着したことが、あっただろうか。
「好きだ」
和輝の台詞にあやかの体がびくりと奮えた。
「好きだ」
うわごとのように繰り返しながら、和輝は自分の足元が崩れ落ちるような感覚を覚えた。
ああ、さようなら。平凡な生活。安定した人生。
外道、変態。なんとでも好きに呼んで下さい。今、この一瞬のほうが大切なんです。
ズボンを引きずり下ろされ、あやかが精一杯の力で和輝を押しのける。
「だめだってば!そんなことしたら、これから先後ろ指をさされる落第者になっちゃうんだぞ!」
そんな言葉も、和輝には効かなかった。一度切れたら手におえない。それが藤臣和輝の専売勅許である。
「俺は、好きな人を手に入れた人を、落第者とは思わない!
それどころか、こんな素敵な人が恋人なら、胸を張って自慢してやるよ!」
押しのけられた体をふたたびあやかに寄せながら、和輝はそう告げた。
「和輝・・・」
あやかの声が涙ぐんでくる。
「だから、あんまり自分を下卑してくれるなよ。落ちるんなら、俺も一緒に落ちてやるから」
その言葉は、自分に多大なコンプレックスを抱いているあやかを落とすのに十分であった。
和輝の手があやかの薔薇色の突起を、優しく撫で上げる。
「あ、ん」
艶めかしい声があやかの口からこぼれ落ちる。
あまりこういったことに慣れていない和輝の愛撫がもどかしくて、よりいっそうあやかを刺激するのだ。
濡れた舌が首筋から、胸、背中まで辿って来て、下半身に熱を帯びさせる。
和輝の吐息がかすかに肌をかすめる度、あやかの体がしなやかに弧を描いた。
「あっ・・・ああん」
脇腹を撫でられて、急速に高ぶるあやかを和輝はそのまま揉みしだいた。
「やぁ・・・」
あやかの手が口を押さえて喘がないように自分を抑制する。
しかし、そのかすかな抵抗さえも和輝にはぎとられ、ぎこちない舌使いに首を振った。
「・・・ああぁ、はぁ」
イクかイかないかの瀬戸際で弄ばれ、あやかの目尻にうっすらと涙が浮かんでくる。
こんなかけひきは、どんな男でも本能で仕掛けられる。だからこそ、あやかは唇を噛み締めた。
感じる事が出来なければいいのに。
「あ、・・・だめっ」
後ろの蕾に指を当てられ、ヒクンと体が反応した。
「あやか・・・」
唾液で湿らせた指が双丘をわって入ってくる。和輝の指が、あやかの体を支配し始めたのだ。
「・・・ん、あっ」
喉の奥に引っ掛かるような声をだしながら、あやかの下半身が解放の時を待つ。
もうぎりぎりのところで、何度も止められた。
まさか、初めてのはずの和輝がこんなにも執拗に愛撫を繰り返すとは思っていなかった。
それだけ、大事なのだ。あやかが。
先程の行為で、男同志がどうやるのか、どうすればイイのか、和輝なりに理解したようである。
公園には人が来る気配もなく、情事は続けられる。
「今度は、あやかが感じて」
多分に恥ずかしい事を言っていると理解できる思考能力は、とうに消えうせている。
和輝はいきりたつ自分をためらいなくあやかに突っ込んだ。
「・・・っつ」
声にならない痛みが体を貫く。いくら慣れているとはいっても、やはり挿入時には痛みをともなう。
しかも、男相手にリードするのは初めてという相手だ。
「あ、はぁ・・・あんっ」
ずるずると深く入り込んでくる和輝の背中を、あやかが抱き締める。
びっくりした。

もともと身体の相性が良かったのか、感じる痛みとは別に、信じられないほどの快感が姿を現し始める。
先程の行為はあやかが主導権を握っていたし、座位だったので、それほど痛がることもなくリズムに乗れた。
しかし、あやかの感覚で律動を繰り返していたため、自慰同然の快びしか感じられなかった。
けれど、今度は完全に和輝に波に飲み込まれて、自分の予想しないところで感じさせられる。
そのとろけるようなその感覚に、和輝もあやかも我を忘れ始める。
「あっ・・・ああ、ああんっ」
若くて激しい律動が二人の距離を縮めていく。
舌先だけが触れ合うような、遊びのキスをかわして、指先を絡め合う。
「も・・・とぉ、かず、き」
抱かれて、感じて。爪が和輝の背にくい込むほど、愛しあって。
「んぁ、ああ・・・」
二人のリズムが一緒になると、終わりは近づいた。
「ああっ、あああっ」
「あ・・やかっ」
熱いものがあやかの体に注ぎこまれた。


荒々しい息が夜の公園に響き渡っている。こんなところを人に見られでもしたら、身の破滅である事は否めないのに。
そんなリスクを背負ってでも、抱きたかった。
和輝はあやかの腹をつたう白い液を舌で拭った。
「俺の気持ち、解ってくれた?」
すこし掠れた声がいつもよりセクシーで、あやかは和輝の頬を自分の手で撫でた。
「もう、『落第者とは思わない』ってところから、解ってたよ」
仕方がない、といった顔で笑うあやかに、和輝は安堵の表情になる。
あやかはそのまま服を着だすと、自分が着ていた上着をそっと和輝にかぶせた。
「だからこそ、・・・さよならだね」
予想していなかった言葉に、和輝の顔が強ばる。
「な、んで」
腕をつかむことすら出来ぬまま、あやかは公園の出口へと暗闇を抜けていってしまった。
和輝は急いで立ち上がって後を追ったが、すでにあやかの姿はない。
思わずついた溜め息が、余計に自分を苦しめる。
そして、残された上着の温もりと、たしかにあの人がいたという痕跡を見詰めて、もう一度呟いた。
「なんで?」
まだ寒さが残る春前の気温が、和輝の身に冷たい風を叩きつけた。


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