常夏ラバーズ





夏休み初日、丁度海の日にあたるその日は近所の浜辺の解禁日でもあった。
今までだったら海に行こうと思っても少し遠めの海へ行っていた竜哉だったが、
蜷川に行かないかと誘われたため近所の海でもいいかと同行することを決めた。
実はその近所の海というのが少しマイナーな海岸で、一部の人間では有名な場所だったりする。
一部の人間・・・そう、ゲイというやつだ。
その海岸ではゲイがナンパしたりセックスしたりするハッテン行為が行われている。
だからホモAVに出ている竜哉はわざわざその海に泳ぎに行ったりはしないのだ。
しかし、他ならぬ蜷川からのお誘いであるし、なによりも海という場所で蜷川と
エッチできるかもしれないという甘い誘惑が魅力的だった。
多分蜷川はその海岸がホモのハッテン場で有名だなんて知らないだろうけれど。
どうせ行けばわかるものだし、なによりも他の人に刺激されていつもより興奮して
くれるかもしれない。
竜哉は水着と替えの下着、そしてバスタオルを手に家を出た。


蜷川は待ち合わせのバス停で待っていてくれた。
デート先の海岸はそう遠くはない。
竜哉の最寄駅からは電車で20分、バスで10分という距離だ。
その乗り換えのバス停で蜷川と落ち合った。
「ちゃんと水着持ってきたか?・・・・・っと、なんだよ、このトランクスタイプ。色気ねぇなぁ」
バスに揺られながら勝手に人の持ち物をチェックしている竜哉を横目に蜷川が眉尻を寄せる。
「色気ないって・・・竜哉はどんなのにしたんだ?」
「俺?当然ビキニ。黒ベースにシルバーのライン入ったデザインでさ!」
言いながら取り出したビキニをぴらりと蜷川の前に出して見せる。
その機能性というよりもデザイン性と呼べるほど布地の少なめな水着に蜷川の顔がどこか緩んだ。
「・・・お前は・・・また、そんなの履いて・・・・・」
そろりと口元を覆い隠すがどうにも照れ笑いが収まっていない。
竜哉はビニールバッグの中へそのビキニ水着をしまいなおすとぺったり蜷川の腕に寄り添った。
「超、そそられない?マジ、そそられるだろ?青姦してもいいんだぜ・・・ってか、しよう。
するぞ。ハイ、決定〜♪」
ちらりと上目遣いに視線をやられては蜷川に断る術はない。
バスの後部座席でぼそぼそと会話を続けていると、海岸に続くバス停でバスが停車した。
二人が席から立ってバスを降りると、他にカップルらしき男性が二組、一人で来ている
男性が三人いた。
視線の先にある浜辺でも既にちらほらと男性の姿が見える。
蜷川は僅かに首を捻った。
海開きだというのに水着を着た女性の姿がいっこうに見当たらないからだ。
それを竜哉に耳打ちしようとしたところ、半ば強引に脱衣所へダッシュさせられてしまう。
「脱げ!着替えろ!泳ぐぞ〜♪」
妙に機嫌のいい竜哉の姿に蜷川は小さく笑みを零した。
休日が土日とは限らない蜷川と竜哉がデートするには、休みの日が重なるときぐらいしかない。
だから竜哉がほぼ毎日休みの夏休みという期間はたいへん有り難い。
いつもデートには遅刻ばかりしてしまうし、遊園地だなんだとテーマパークに行くのは
恥ずかしくてためらいがある。
竜哉を愉しませてあげることができているか、蜷川は不安に思っていた。
だからこそ今日のように嬉しそうな竜哉を見ていると蜷川は幸せな気分になってしまう。
「・・・・蜷川さぁ、チンコでかいんだから絶対ビキニのほうが似合うのに」
着替えながら竜哉がちらりと視線を送ってきた。
若い恋人のあけすけな言い様に時々蜷川はかなり恥ずかしくなってしまうのだが、
今日ばかりは夏という開放感も手伝ってかどきっとはしても不快感はない。
「あ、なんなら俺のビキニと交換してやろうか?」
「・・・・バカ、そんな小さい水着・・・・・はみだすだろ」
嬉々として提案してきた竜哉に蜷川が肩を竦めてみせた。
蜷川のムスコはかなりデカい。
いろいろな男優とセックスしてきた竜哉から見てもデカいと思うのだから、相当なものだ。
初めて竜哉と結ばれたときなど、竜哉は痛さにギブアップしてしまった。
それが竜哉的にはプライドを刺激されたらしく、慣れるまで毎日蜷川の家に押しかけて
一日一度はセックスしていった。
その努力のおかげで今では竜哉もコツを掴んだのかしばらく慣らせば蜷川のデカい
イチモツでも挿入することで快感を得られるようになった。
さすがにそこまでされれば恋人として嬉しいことこの上ない。
「よっしゃ、着替えた!・・・って、何一人でにやにやしてんだよ」
まだ半分ほどしか着替えずに一人瞑想していた蜷川へ竜哉が突っ込みを入れる。
「っと・・・悪い、先に行っててくれ。すぐ行く」
言われてはっとした蜷川は慌てた様子で着替え始めた。
それを尻目に竜哉は了解、と短く告げてウィンドウブレーカーを羽織り、
小銭入れと携帯、ダイバーウォッチにフリスクを持って海へと出る。
快晴の日差しはやや強めに肌を差し、竜哉は自分のテンションが一気に上がるのを感じた。

「・・・・・君、一人だよね?」
うきうきと周りを見渡す竜哉に、ふと声をかけてきた男がいる。
うざったそうに竜哉が振り返るとそこには筋肉美が自慢らしい肌の焼けた
にやけた面の男が立っていた。
「そこでビールでも飲まないか?一緒に」
きらりと太陽の光を受けて光る前歯がどうにも気に食わない。
「・・・悪いけど、連れいるから」
竜哉はそう冷たく言い放って海のほうへと歩き出した。
しかし男はそこで諦めずしつこく食い下がってくる。
「またまた・・・さっき一人で更衣室から出てきたじゃないか・・・そんなにセクシーな水着でさぁ」
竜哉にしてみればこのセクシーな水着は蜷川を誘うためのものであって、このにやけたちょっと
ハゲ気味のオヤジをゲットするためではないと叫びたい気持ちになってくる。
「・・・・・ん?あれ?・・・・この顔・・・・あ!お前、ビデオに出てるヤツじゃないか!」
瞬間、竜哉がぎくりと男を振り返った。
それは肯定しているも同然で、男はさらに顔をにやつかせて目を細めてくる。
失敗した、と思っていても後の祭りだった。
考えてみればホモの交流場に来れば普段生活している場所よりも格段に自分のAVを見ている
人間に会う確率が増える。
それを計算に入れてなかったことに竜哉は舌打ちしながら再び足早に海へと歩き出した。
「あっ、待てよ!なに、今日は撮影なのか?複数プレイなら俺も入れろよ!なかなか上手いぜ、俺。
お前のビデオ何本か見たけど、けっこう筋肉質なの相手にしてること多かっただろ?ナァ!」
どんなに無視をしても男が引き下がる様子はない。
ここは一発、きつい一言で退散してもらうしかなさそうだ。
そう口を開きかけた途端、横から知らない男がにょっと出てきた。
「おい!この子困ってるだろ。・・・無理矢理ナンパすんなよ」
ちらりと視線の端で見てみると少し髪の長い茶髪の大学生っぽい男が竜哉をかばってくれている。
竜哉はコレ幸いと黙って二人の攻防を見つめた。
しばらくするとにやついた男は口で負けたのか撤退していってしまった。
竜哉は肩を竦めると溜息をひとつ吐き出す。
「サンキュ。助かった」
「いや・・・・なんか、AVでてるんだって?大変だな、そういうのも」
さわやかににこっと笑う大学生にそれほどでも、と愛想笑いを返すと竜哉は脱衣所のほうを見た。
ちょうど蜷川が出てきたところで竜哉は口端を笑ませてしまう。
「おー・・・・」
手を上げて声をかけようとした矢先。
「でも君、すごい魅力的だからわかる気もするよ・・・・俺、体力に自信あるぜ?今夜・・・」
さわやか大学生君に視界をふさがれてしまった。
かちーんと竜哉の額に血管が浮かぶ。
どいつもこいつもうざったいっていうのに、それをまったくわかってやくれない。
「ちょっと、どけって・・・・わあ!」
男の体を押しのけて蜷川のほうへ行こうとしたその眼前にふっとカキ氷が現れた。
なにやら今度はまた別の男が竜哉の進行方向を邪魔するのだ。
「君、君。いいスタイルしてるねぇ!そんなチャラ男ほっといて、カキ氷で冷たくなろうぜ!
もちろん冷えた体は後で熱いくらい火照らせてやるし・・・・・」
「いや、だから俺、連れが・・・・」
いいかけた竜哉にさらに追い討ちをかけるように背の高い男が二人を押しのけて竜哉の前に現れる。
「俺もまぜろ。目の前でいちゃつかれてたらかなわねぇ」
「だぁあーーー!いいかげんにしろぉーーー!!」
竜哉がぶちきれた。
いつまでたっても蜷川に手を振ることができない。
しかも目の前を三人の男にふさがれていたら見つけてもらえず蜷川が別の方向に
行ってしまうかもしれない。
切れた竜哉の顔に三人はきょとんとした表情を見せている。
いまだ!
そう思って逃げ出す準備をした竜哉は三人の男の手によって腕を捕まれてしまった。
「そうだなぁ、別に4Pでもいいか」
「複数プレイって悪くないしネ」
「燃えるな」
竜哉は呆れてモノがいえないほど口をぱくぱくとさせた。
こいつら、アホだ。
「離せって・・・俺の意思を尊重しろ!」
竜哉はもがくように三人の手を振り切ると、一目散に彼らとは反対方向へ逃げ出した。
蜷川から離れてしまうことになるが多分蜷川ならば異変に気づいてくれるだろう。
一度命を助けられている竜哉は蜷川を信頼していた。
「おっ、なんか強姦プレイっぽくていい感じ♪」
「プレイじゃなくて強姦だろ?」
笑いを潜ませた声が響くと後ろの男たちも竜哉を追いかけて走り出す。
「・・・・っ!」
しかし目前にあった海にばしゃっと脚がつくと竜哉のスピードが落ちてしまった。
一人の男が竜哉の手首を掴み、もう一人が腰に腕を回してくる。
もがく竜哉が必死に沖へ出ようとしてばしゃんっと音をたてて海に倒れ込んだ。
「っ、・・・・!」
まだ浅いところだというのに寄せては返す波が竜哉の顔を濡らし口へと侵入してくる。
以前味わった火とは違う恐怖に竜哉の体がびくんっと震えた。
「・・・おい!」
その瞬間耳慣れた声が聞こえ、竜哉の体がざっと海から引き上げられる。
竜哉の読みどおり異変に気付いた蜷川が竜哉の後を追ってここまで走ってきてくれたのだ。
「・・・・蜷川ぁ・・・」
竜哉は思わず蜷川の首にぎゅっと抱きついてしまった。
やはり竜哉の大好きで安心できる空間がそこにはある。
蜷川でなければもう、だめなのだ。
「なんだよ、アンタ・・・」
「これの連れだ。悪いが、引いてもらう」
体格のいい蜷川に睨まれて長髪の男とカキ氷の男がうっと声を詰まらせる。
長身の男だけは食い下がろうとしたが、ライフセイバーが走り寄ってきて
それ以上事を荒立たせることが出来なくなってしまった。


二人は人目を避けるように岩場の多いゴツゴツとした浜辺へと移動した。
手を引かれたまま竜哉は自分と蜷川との体格差に少々項垂れてしまう。
ないもの強請りをするつもりはないが、やはり男としては蜷川くらいなめられない容姿が欲しかったと。
漠然とそう思ったらなんだか物悲しくなってきてしまったのだ。
「竜哉、大丈夫か?」
考え込んでいる最中に、岩場の奥にたどり着いた蜷川が振り返って尋ねてきた。
「・・・・、ああ。うん、平気」
いつもならば減らず口をたたく竜哉の口数が少ない。
それは知らず蜷川の不安をかきたてた。
「・・・・・悪かった。ここが・・・その、そういうヤツが多い海岸だって知らなくって・・・」
僅かに頬を赤くして蜷川が謝罪の言葉を述べる。
推測するに体格のいい蜷川に抱かれたいという輩がそれを教えたのだろう。
ナンパされていて着替えから出てくるのが遅くなっただなんて、
いつもの竜哉だったら半ギレのところだ。
しかし竜哉は予想に反して両腕で蜷川の体を自分のほうへと抱き寄せた。
「いいよ、助けに・・・・来たし」
火難の次は水難かと、竜哉は自分の運の悪さに肩を落とす。
まぁ、それが蜷川との出会いになったのだからいちがいに運が悪いとは言い切れないのだが。
「・・・・っ、!」
抱きつかれた蜷川が突然呼吸を荒くする。
「た、竜哉・・・・そんなに、ひっつくな・・・」
慌てて剥ぎ取ろうとした竜哉の腕はさらにきつく蜷川の体に巻きついてきた。
どうやら離す気はないらしい。
「やだ。・・・・なんでだよ。恋人だしいいだろ?くっついてたって・・・・・」
「外だし、誰かに見られたら・・・」
「こんな岩場に誰もこねぇし、それにホモばっかの海岸なんだから別に見られたってどうってこと・・・」
そこまで言った竜哉の唇を、蜷川の唇が強引に塞いだ。
触れて上唇をちゅっと吸ってから温もりが離れる。
「・・・・・水に濡れた体が、色っぽくて困るんだよ」
竜哉が見上げると蜷川の情けなさそうな表情が間近にあった。
思わず竜哉はぷっと吹き出して、わざとらしく摺り寄せるように体を蜷川へと密着させる。
「上等、欲情されてナンボだって」
そのまま爪先を伸ばして蜷川の唇へ己の唇を重ねた。
上気を含んだ唇はしっとりと互いに張り付き、下唇を吸い上げると
ちゅっと音がして再び皮膚が密着する。
角度を変えてもう一度口付ければ蜷川の自制心など粉々になった。
「・・・・・っ!!」
太い腕にぐっと抱きしめられながら舌を交わす濃厚なキスを繰り返す。
「んっ、ん・・・・ぅ」
うねる舌は蛇のように絡み合って吐息すらも奪うように口内の全てをかき乱していった。
竜哉が蜷川のキスに夢中になっていると蜷川は竜哉のウィンドブレーカーをそっと脱がしにかかる。
と、拍子にかつーん、と音をたてて竜哉のポケットから携帯とフリスクが落ちた。
「・・・・ぁっと、壊れてねぇよな」
はっとして唇を離した竜哉が携帯電話を拾い上げて中身を確認する。
異常がないことを確かめフリスクの箱を拾うと、蜷川が脱がせたウィンドブレーカーを
岩場にそっとかけた。
ポケットの他のものが落ちないようにきちんとたたんであるところが蜷川らしい。
「サンキュ・・・・・あー、今ので水入ったみたい」
フリスクの箱を開けるとちゃぷっと音がして、落とした衝撃で開いた口から
海水が入ってしまったことを物語っていた。
中身のタブレットもまわりがふやけ出している。
竜哉は後で捨てようとポケットにフリスクの箱を仕舞おうとしたが、それを蜷川が片手で止めた。
「ん?なに?」
首をかしげる竜哉からフリスクを取り、その周りがふやけたタブレットをひとつまみ口へと持っていく。
「知ってるか?・・・・・コレは、けっこう効くらしいぞ」
ふっと笑みを浮かべると蜷川はふいに素早い動きで竜哉の水着を膝までずり下げた。
「わっ!?な、なに・・・・・」
竜哉が動揺していると蜷川は岩場の影になるように竜哉の体を動かしながら跪く。
そして目の前にぶらさがる竜哉のペニスをぱくりと口に咥えたのだ。
「!!・・・・っ、!」
思わず大きな声を出してしまいそうになった竜哉は両手で口を押さえた。
蜷川のフェラチオは大変気持ちがいいが、今回はいつもと何かが違う。
こりこりとした感触とすぅ、とするような刺激的な感触が混ざり合ってペニスを嬲ってくるのだ。
「っ、ん・・・ん、ん、・・・ぁ」
竜哉の鼻先から甘い声が漏れる。
熱い舌先が溶かすフリスクがすぅ、とした感触の正体だった。
それは氷を当てたときのような突き刺すほどの痛みでもなく、風を当てたときの爽やかな快感でもない。
直接神経を冷やしてくるような脳天を突き抜ける悦楽。
こんな体験は初めてのことだった。
「あ、やっ・・・・に、ながわ・・・・・っ、ん、ぁあっ、あっ」
竜哉の背がびくん、びくんと大きく撓る。
腰の動きに合わせて唇を前後に揺すってやると竜哉のペニスは正直に勃起し始めた。
「やっ、それ・・・変、だめっ・・・ああっ、あんっ」
先端を集中的にフリスクのタブレットで攻められ、竜哉は息を乱して膝裏を振るわせる。
蜷川の熱い舌先に裏側まで丹念に舐められる頃にはあっという間に達してしまいそうになった。
竜哉は別に早くも遅くもないが、こんなにも性急に射精感がせりあがってくるのは久々の事だ。
あまりの刺激に睫を震わせて感じていると蜷川の口の中にあったフリスクは
もう溶けてなくなってしまった。
「・・・・竜哉、どうだ?気持ちいいか?」
下から顔を覗くように聞かれ、素直に竜哉はこくりと頷いてみせる。
「こんなの・・・どこで覚えてきやがった・・・・・はぁ・・・」
乱れる吐息を整えながら囁くと蜷川はしてやったりとにっこり笑いながら再びペニスへ顔を寄せた。
「竜哉を喜ばせたくて、ハウツー本を買ってきたんだ」
それを聞いて竜哉は思わずその年でかよ!と突っ込みを入れたい気分になる。
けれどその自分を喜ばせたいという気持ちには素直に嬉しいし、からかったら二度と
新しいテクニックを披露してくれなさそうなので竜哉は黙ることにした。
「ばか・・・っ、今、咥えたら・・・で、ちま・・・・だろっ」
再びペニスに食いついた蜷川へ竜哉が言葉で静止をかける。
フリスクでクールに冷やされた分、妙に蜷川の舌の感触が生々しく熱く感じてしまう。
押し戻すように蜷川の頭へ伸ばされた手がゆっくりと髪を梳き撫でた。
「立ったまま挿れるとつらいだろ?・・・一回、イっといたほうが・・・」
いい、と言う前に竜哉の両目がぎゅっとつむられ赤くなった頬がふっと息を弾ませて膨らむ。
敏感な先端を舌先で弄ばれたために我慢がきかなくなったのだ。
「ああっ、あああっ・・・・!」
ぶるっと大きく震えると、竜哉の全身が硬直したように一瞬止まり、絶頂を極める。
蜷川は慌てて竜哉の性器を口に咥えなおした。
「ああっ・・・ん、あ・・・・あ・・・・、はぁ・・・ハァ・・・・」
びくびくっと大きくなった男根から大量の精液が吐き出される。
むせ返るような雄のにおいが海の潮に混じった。
「・・・・っ・・・・なんか、濃いな」
出された液体を口から掌へと吐き出しながら蜷川が感想を述べる。
それを聞いた竜哉は恍惚としていた表情から一転、起こったように耳まで真っ赤になって
べしっと蜷川の頭をはたいた。
「あほっ!・・・・・じ、自分でしてなかったんだから、仕方ないだろ!」
精液の感想なんか述べるな、と竜哉は憤慨したが、竜哉がやった場合はきっと感想を述べるだろう。
蜷川はそう思うとなんとなくやるせない気持ちになり、それと同時にわがままな竜哉が
本当にかわいいと思ってしまう。
惚れた弱みというやつなのだが、竜哉には何を言われても許してしまうのだ。
「うん、ごめん」
くすり、と笑みを浮かべて竜哉の機嫌を取るように左手で頭を撫でる。
竜哉は少しだけ恥ずかしそうに蜷川の肩口へ顔を寄せるとその首筋にちゅっとキスをしてきた。
寄り添った体の後ろの中心部。
蜷川は精液を残した右手をそろりと伸ばしてそこに触れる。
「っ・・・!」
瞬間、竜哉の体が奮えてかろうじて膝にひっかかっていた少ない布地の水着が岩場へと落ちた。
にちゃっと粘着質な液体が双丘の間をつう、と滑るとそこへ太い指が絡んできて小さな蕾をこじ開ける。
「っ、ん・・・!」
鼻先で息を吐き出した竜哉の尻肉がきゅっと窄まって蜷川の指を食んだ。
それをさらに押し広げようと右手の中指がさまようようにゆるゆると後孔のまわりを撫でてゆく。
焦らすように執拗に入り口を精液で濡らしてからようやく太い指の先端がぷちゅっと穴を突いてきた。
「・・・・あ、っ・・・・ん、・・・・」
だんだんと波の音が頭の遠くへ消えてゆく。
セックスに集中すると周りの音など聞こえなくなってしまうのだ。
蜷川の指は手馴れた様子で竜哉の入り口をぐりぐりと摩擦して赤く充血させてゆく。
指先ひとつでもこんなに翻弄されるなんて、相手が蜷川でなければありえない。
指の第一関節を入れたり出したりする愛撫に竜哉は喉をのけぞらせた。
「っ、・・・んはぁっ!・・・・っと、奥っ・・・・」
悲鳴のように息を吸い込みながら掠れた声が嘆く。
「うん?」
聞き取れなかった言葉を促すように耳立てながら蜷川は蕾に添えた指を一本増やして縁をなぞった。
「そ、な・・・とこばっかじゃなくって・・・ぁ、ぁ・・・奥、もっと・・・かきまわせ、よっ・・・」
肩で息をしながらも気の強そうな視線で見上げてくる竜哉に蜷川のテンションが一気に上がる。
竜哉のこういうところはどうにも男の征服欲を刺激してたまらない。
蜷川はトランクス型の水着でよかったと心底思いつつ、大きく膨らんできた股間を竜哉に擦りつけた。
「ああ・・・奥だな。・・・・こうか?」
わかっていて、わざとゆっくり指を交差させていた蜷川が、ふいに二本の指を後孔の奥へと突き立てる。
「あああっ!!!・・・・い、て・・・・ぁ・・・」
いくら精液で濡れていたとしても、入り口ばかり刺激されて中はまだ弄られていない竜哉が声を荒げた。
いきなり異物を挿入された内壁はそれを排出しようときゅうきゅうに指を締め付けてくる。
「ば、か・・・もっと、ゆっくり・・・・っ」
握った拳を蜷川の背にどんっと当てながら竜哉がはぁ、はぁ、と息を押さえ込んだ。
指は奥に届いた状態で止められているから、竜哉が慣れればどうってことはない。
それをわかっていて蜷川は指の動きを止めているのだ。
中の肉が指の質量に順応し、やがて呑み込むように蠕動するのを二人は知っている。
「・・・・・動かして、いいか?」
蜷川の甘い囁きに問われ竜哉は閉じていた片目を開いた。
「ちょ、・・・まって・・・」
言いながらゆっくりと、ひどくゆっくりと片足を岩場にかけるように上げてゆく。
その動きのせいで蜷川の目線でも充血した蕾がしっかり見えるようになってしまった。
片足を上げることで開かれた竜哉の内部も蜷川の指より少し余裕が出てくる。
「・・・・っ・・・・」
こくりと生唾を飲み込んだ蜷川は竜哉のゴーサインが出る前に指を前後へ動かし始めた。
「あっ!あ・・・・アァ、あっあっ!!」
性急な動きで激しく入り口も内壁も最奥も擦って突き上げてゆく。
竜哉は耐え切れずに両腕で蜷川の背へとしがみついた。
むずがゆいような、痛いような、摺られる感触は何か鈍い光を見ているような気分にさせる。
爪先がぴんと伸びる竜哉の内部で蜷川が彼の前立腺を摩擦した。
「ひぃっ・・・・ああああっ!」
途端、びくびくっと竜哉の肉棒が震えぐんっと質量を増して反りあがってくる。
前立腺を刺激されたことでペニスのほうも反応を見せたのだ。
反対に竜哉の蕾はひくひくと戦慄きながら収縮してくる。
「今の・・・っ、きたっ・・・・マジ、感じる・・・」
はぁはぁと肩で息をして、竜哉は蜷川の胸元へ倒れ込んだ。
背にしがみついていた指先もいつの間にか快感にほだされたかのように柔らかく背を往復している。
「たつ・・・・や」
唇を半開きにして呼吸していないと耐えられない様子の竜哉は、蜷川の視覚に直接刺激を与えてきた。
犯したくてたまらない。
蜷川の屹立の先端がじわっと染みを作り出す。
「早く、挿れたい・・・」
本気の本音を呟きながら蜷川はさらに解すように竜哉の中を指を曲げてぐりゅぐりゅと広げていった。
「あっ、あっ・・・・あ、あんっ・・・・はぁ・・・」
短い喘ぎ声が岩場に小さく反響する。
指はいつの間にか三本になっていた。
「ああっ、に、な・・・がわ・・・っ、も、いいかもっ・・・・・」
ぶるぶるっと大きく背を撓らせて竜哉が蜷川の腕に片手を添える。
それを合図に蜷川が指を引き抜くと、竜哉は外側から股を抱え上げて蜷川に秘部を見せ付けた。
「イけそう・・・・ほら、挿れろよ。外すなよ」
ぜいぜいと荒いままの呼吸が繰り返されるたびに開かれた蕾から汁がつう、と垂れてくる。
蜷川は自分の水着を脱ぐと右手でしゅっしゅっ、と自身を摩擦し始めた。
その大きさに竜哉がこくりと息を呑む。
考えてみれば自分の中を出入りしているソレを見るのは今日が初めてかもしれない。
竜哉は出来るだけ体を丸めて蜷川の挿入を待った。
「・・・竜哉・・・・」
欲しい、と代弁するような甘い声で名前を囁きながら、蜷川はそっと先端を蕾へあてがった。
にちゅっと液体と液体が絡むような音がしてそれからぐちゅぐちゅっと
粟立たせるように掻き混ぜる音が響く。
「・・・・っ・・・!!!」
蜷川の腰がぐっと押し迫ってくると竜哉は無意識に息を止めて痛みに耐えた。
最初の太いところが入ってしまえば中の肉は形に合わせて姿を変えてくれる。
全身に鋭い神経が張り巡らされてしまったかのように過敏になっている体を竜哉は蜷川に摺り寄せた。
「腰、進めるぞ・・・」
言われて竜哉は無言で頷きを返す。
さらに蜷川の大きな楔が竜哉の秘部を割ってきた。
ぐぐ、ぐぐ、と侵攻を深めてきたそれは一番太いところを抜けると勢いづいて一気に体を裂いてゆく。
「あああぁあぁ!!・・・・あ、ッ・・・や、ギチギチに・・・・堅い、し・・・」
外の神経ではなく内部の神経でそれを感じる。
「悪い、・・・・なんか、興奮してる」
鼻息が荒くなった蜷川の太い腕が竜哉の体を抱きしめながらぴったりと重なった体を少しずらした。
「ああ、っ・・・・ヤバっ・・・・俺も、なんか・・・すげぇ、イイ・・・っ」
蜷川は思い立ったようにふいにピストンを開始し、素早い動きで竜哉を攻め上げてくる。
ぐちゅ、ちゅぷっと自分の菊門に赤黒い張り詰めたペニスが出入りしているのは視覚的にかなりきた。
油断するとすぐにでもイってしまいそうな快感を胸に、竜哉が腹筋に力を込めて内壁を締め上げる。
「っ、・・・ぅあっ・・・・・」
びくっと蜷川の性器の血管が浮き上がった。
汗ばんだ肌はさらに容赦なく互いの股をぶつかり合わせている。
コンドームのない性交は相手の先走りをダイレクトに感じさせ、
さらに空気と混ざって耳にあざとい音を響かせた。
「ああっ、あ、あっ・・・・ァんっ・・・はぁ・・・・アアッ・・・あ、ああっ」
ひっきりなしに喘ぎ声が漏れると蜷川の腰の動きもいやらしく回転をかけたり
強弱をつけたりして変化を出してくる。
そうすると竜哉の前立腺を刺激したりしなかったりと、かなりイイ思いをさせることを知っているのだ。
悔しいが竜哉は蜷川の放つ波に完全に呑み込まれていた。
「ああっ、・・・に、な・・・・あっ、あ・・・好き、っ・・・・も、イクっ」
竜哉のかわいい声が限界を知らせると、蜷川もまた絶頂を求めて竜哉に腰を打ちつけた。
「っ・・・・、ああ、全部・・・出しちまえっ」
「あああっ、あぁ、ンッ・・・・・!!!ぁ、アアッ・・・・・・」
獣のように揺さぶられて竜哉は怒涛の快楽に身悶えながら射精した。
びゅっと飛び散った精液は勢いがよすぎて蜷川の顎先にまで達する。
その匂いをクン、とかいだ途端、蜷川も竜哉の内ではじけた。
「っ・・・・、く・・・・」
ぱん、ぱんっと何度か腰を打ちつけながら熱い飛沫が内壁を滴らせてゆく。
二人はしばらく放心状態で抱きしめあった。


「・・・・・あー・・・シャワー浴びるのかったりぃ・・・」
ずるずるとウィンドブレーカーを引きずって着込む竜哉に蜷川が困ったような笑みを浮かべる。
「じゃあ・・・海にでも入って”中”、綺麗にするか?」
「アホか・・・染みるっちゅうの」
竜哉はぶつぶつ言いながら立ち上がった。
尻も背も岩場に擦りつけたせいでひりひりと赤く腫れて痛みを感じさせている。
「じゃあ・・・うちに来れば俺が風呂に入れてやるよ」
「マジ?だったら、行こうかな〜」
けして広くもない蜷川の風呂場だが、俺が入れてやるという言葉に竜哉が気を良くする。
そしてその広い背に抱きつくと頬を摺り寄せてキスをした。
「海もいいけどさ・・・やっぱなんか、蜷川ん家が一番落ち着く」
へへ、と笑って告げる竜哉に、蜷川は落ち着くどころかむらむらしてしまう。
そしておもむろに竜哉の手を取るとやや急ぎ足で家路へとついた。


エロです(見ればわかる)。フリスクです(だからなんだ)。
すいません、今激烈に眠くて頭が働いておりません・・・ちょっと激務で。
タイトルは桂さんにつけてもらおうとしたんですが、結局自分でつけました。
あんまりにも眠くて頭働かなくて自分だと「エロサンバ」ってつけそうに
なったんですが(本気)。なんとか思い留めてそのまんまタイトル常夏を。
あとがきは後日かけたらここに追加しますうーーーすいません、すいません。
とりあえず、竜哉は書いてて楽しいです、毎回。になっちも今回は少し
マシになったんじゃないかと思われ。だめだこりゃー(いかりや風に落ち)。




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